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ヴェノムの生みの親コミック・アーティストのトッド・マクファーレンのインタビュー

NEWS

MANGA

2019.03.05 TUE

映画『ヴェノム』のブルーレイ&DVDが、2019年3月6日に発売されるにあたり、“ヴェノムの生みの親”として知られるコミック・アーティストのトッド・マクファーレンのインタビューが到着。

ダーク・ヒーロー“ヴェノム”の誕生秘話や実写映画化となった感想、さらに注目を集める『スポーン』の近況についても語っている。

── ヴェノムというキャラクターはどのようにして生まれたのでしょうか。

ヴェノムはコミック『The Amazing Spider-Man』のヴィランとして生まれました。私がスパイダーマンの絵を描くアーティストとして参加することになった当時、ピーター・パーカーは黒いコスチュームを着ていました。でも私は黒いコスチュームを描きたくなかった。私にとって黒いコスチュームなんてスパイダーマンじゃない。
スパイダーマンといえば赤と青のコスチュームだと思っていました。だからマーベルに、「黒のコスチュームをやめてもいいなら、スパイダーマンを描くよ」と言ったんです。でも彼らは、黒いコスチュームを気に入っていて、却下されてしまいました。
なので「じゃあ、ピーター・パーカーから黒のコスチュームを脱がせよう。それで別のキャラクターを作るから」と提案したんです。そうしたら、黒いコスチュームのキャラクターが手に入るし、私は赤と青のコスチュームを着たピーター・パーカーが描けますからね。

マーベルはこの案に賛成してくれたので、私は黒のコスチュームならエイリアンや何かしらのクリーチャーだろうと思って、大きなモンスターのスケッチを描きました。そして、それに大きな目と曲がった背中、大きな口を与えました。舌はあるんだけど、最初の頃は今みたいに分厚くなかったですね。そのデザインをライターに渡して、ヴェノムという名前のキャラクターが誕生しました。しかし後になって、ヴェノムの中にはエディ・ブロックっていう男が入るんだ、って言われてね。でも私がデザインした時はただのモンスターだと思っていて、そのデザインを変えたくなかったから、「じゃあ、このコスチュームがエディ・ブロックを呑み込む設定にしよう」と答えました。そうすれば巨大な身体のままにできる。例えばインクレディブル・ハルクみたいに、ヴェノムになると巨大化するような。しかもヴェノムはもっと大きくなったから、ピーター・パーカー/スパイダーマンが殴り合いで倒せるような相手じゃなく、倒すためにはより知恵を使わなきゃいけないキャラクターになりました。

いま振り返ると、トッド・マクファーレンという若きアーティストが、黒いコスチュームのピーター・パーカーを喜んで描いていたら、ヴェノムは生まれていなかったかもしれませんね。でもたぶん、みんな当時の私が未熟で子どもっぽいアーティストだったことをちょっと喜んでくれるんじゃないかな?描きたくないと言ったからこそ、いまこうしてヴェノムっていうクールなキャラクターがいるんだから。

── 最初にヴェノムのデザインはどこから思いついたのですか?
また描き上げる際、どんなことを意識されましたか?

とにかく、すごく身体が大きなキャラクターにしたいという気持ちはありました。なぜなら、スパイダーマンがやってきて、スウィングしながらヴェノムを蹴って、蜘蛛の糸で縛って、刑務所送りにできるようなキャラクターにはしたくなかった。そんなの簡単すぎる。片方がずっと大きくて、例えるなら私がサイと対決するようなもの。サイを力で押し倒そうとしたって無理ですよね?巨大すぎるし、重すぎる。つまり、いま私がサイを地面にひっくり返そうとするなら、力でなんとかするんじゃなく、頭を使って何か別の方法を思いつかなきゃいけない。ヴェノムを作ったときも同じです。ピーター・パーカーが頭を使わないと倒せないような、巨大な敵にしたかったんです。

それに、私はストーリーを書いてるわけじゃなく、絵を描いているので、アートを興味深いものにする必要がある。スパイダーマンという小さな痩せた男がヴェノムという鉤爪を持った巨大なクリーチャーの前に立ち、「うわ、どうやったら倒せる?」って考えている姿を描くのが面白かったし、そのストーリー展開の答えをライターに委ねるのは楽しかったですね。ライターはスパイダーマンがヴェノムを倒す方法を思いつく必要に迫られたけれど、私は描くだけだから。

── スパイダーマンを描いていた頃についてお話しいただけますか?スパイダーマンでは伝説的なアーティストの一人ですが、当時の思い出など何かありますか?

私がスパイダーマンを描いていたときは、さっきも言ったように赤と青のクラシックなコスチュームのスパイダーマンを描きたかったんです。でも同時に、それまで30年の間にいろんな人がやっていたことを繰り返したくはなかった。

たぶん、あまり理解されていないと思うのですが、アーティストやライターっていうのは、話し相手がいないから、ほとんどの時間一人で部屋に座っているんだ。つまり、机に向かって仕事をする時に自分で自分を楽しませるしかない。だから、スパイダーマンを引き継いだときにはこう思った。「何を描いたら楽しいだろう?どうしたら締め切りに耐えられるだろう?」と。つまり完結に言うと、私が本を手にとってスパイダーマンを見ると、スパイダーマンという単語の“マン”、人間の部分が強調されている気がしたんだ。でも、「いや、違う、俺なら“スパイダー”、蜘蛛の部分を強調する」と思った。私からすると、いったんコスチュームを着ると、もうそれは“マン”じゃないんだよ。だからこそ変なポーズをさせたし、虫みたいに目を大きくした。手首から糸を放てるようにもして、もっと蜘蛛っぽくしたんだ。クールだったし、そうやって自分で楽しんでいた。それで厄介な事態にもなったけど(笑)。「このアイコニックなキャラクターをいじりすぎるな」と上から言われてね。私としてはただ楽しもうとしてただけだったんだけどね。でも幸いにもコミックの売上げは上がる一方だった。つまり、ファンが私に仕事を続けさせてくれたんだ。私が考えるスパイダーマンをいいと思ってくれた。

とはいえ、しばらくすると「そこまでクリエイティブにならないでくれ」と言われるようになった。それで疲れてしまって、マーベルを辞めることにしたんです。残念な話だけど。スパイダーマンは描いていて楽しいキャラクターだったし、今でも描きたくなります。

── 映画『ヴェノム』は世界中で大ヒットの映画となりました。映画を見てどう思われましたか?

ラッキーなことに、ワールド・プレミアに参加できたので、一般の皆さんと一緒に鑑賞しました。私は最初にこのキャラクターをデザインしたアーティストとして、何よりもまず……巨大なキャラクターを大きなスクリーンで観たかった。ほんとそれだけ。ライターであり共同クリエイターのデイヴィッド・ミケライニーは、何かしらストーリー的な要素を楽しみにしてたと思うけど。でも私はストーリーのことは心配していませんでした。クールなものをたくさん観たかっただけで、実際観られました。とにかく巨大なヴェノムをスクリーンで観たいって思っていたし、それが観られて満足だった。

映画『スパイダーマンTM3』(2007)に出てきたヴェノムはあんまり大きくなかったでしょ?私は個人的に、巨大なキャラクターを作った人間として、あれにはちょっとがっかりしたんだ。でもトム・ハーディが演じた今回の『ヴェノム』は、「イエー!」って感じだったね。「私が描いたヴェノムにずっと近いじゃないか」って。他の人たちがどう思ったかは代弁できないけど、私はハッピーだったよ。

── 『ヴェノム』は初めてヴィランを主役にしたアメコミ映画です。ヴィランを主役にした物語として重要なポイントは何ですか?

まずひとつには、キャラクターがクールに見えなければいけない。ヴェノムはクールなんだ!大きな目がある巨大な黒のキャラクター。10歳でそれが嫌いな子なんていないでしょう?
そしてもうひとつは、ゾッとするし気持ち悪いところ!そこに重要な要素があると思う。パニッシャーやバットマン、ウルヴァリンが人気者になったのも同じ理由。平気でルールを破るようなキャラクターがみんな好きなんだよ。

私にとってのヴェノムは、やりたい放題なキャラクターだが、自分が考える正しいことをやろうとする。でも、その途中で何かが壊れても気にしない。そこが他の多くの行儀がいいスーパーヒーローと違うところだね。でも、そうじゃないキャラクターが好きな子どもも大勢いると思う。『X-MEN』でウルヴァリンが一番人気な理由も、彼が一番荒くれ者だったから。ヴェノムは、ピーター・パーカー/スパイダーマンなら絶対しないようなこともする。行儀のいいピーター・パーカーにはできないんだ。でもヴェノムだったら、「なんだ?そいつの首を折るんなら、俺がへし折ってやるよ」って、それで終わり。そういうところが私たちのような子どもたちにとっては、変な意味ですごく面白いんです。

── 映画『ヴェノム』は早くも続編製作が期待されていまが、あなたが続編に期待することは?

正式に決まったのかはまだ分からないですが、私が観たいのは、本作の最後に登場したあのキャラクターです。カーネイジですよ。あれこそヴェノムのミソロジー(神話体系)におけるネクスト・ステップとして完璧だと思います。あのキャラクターを出したのは大正解。しかもウディ・ハレルソンのようないい俳優があの役を演じるのを観るのは、素晴らしかった!ウディ・ハレルソンとトム・ハーディが会話しているのを、私も観たいから。

ほとんどのスーパーヒーロー映画の一作目って、オリジン(ヒーローになるまでの物語)を描かれるでしょ?そうなると、ストーリーの半分はキャラクターの成り立ちに描くことに費やさなくてはなりません。でも続編では、お膳立てをしなくて済むから初っ端からクールなことをやればいいんだ。みんながこのキャラクターについてもっといろんなことを知ることになる。作る側もスクリーンでカッコよく魅せる方法が前よりわかってるだろうしね。だから、続編は一作目よりさらにいい映画になると思うよ。

── 原作を手がける『スポーン』の再映画化の方はどうですか?今はどのような状況ですか?

今は製作費の資金調達に動いています。それが上手くいけば、パートナーとなるスタジオを見つけて、最終的なゴーサインが出ることになるんだ。『ヴェノム』の成功が追い風になればいいと思います。そうすれば、予告編の最初に「ヴェノムの共同クリエイターが贈る・・・」という文字が出せるからね!

あと、これは叶うかどうかわからないけど、私の願いとしては『スポーン』をソニー・ピクチャーズで作りたいと思っています。そうしたら、スポーンとヴェノムが共演できるかもしれないでしょ。もしかすると、将来的に二つのキャラクターが実際出会うかもしれない。『スポーン』を監督できたら、私自身がその映画を監督できるかもしれないし、それが私の夢ですね!今後『スポーン』が上手くいったら、すでに成功している『ヴェノム』とのクロスオーバーができる。現実的には不可能かもしれないけど、そうなったらクールですよね?

── 映画『ヴェノム』の大ヒットで、日本でもヴェノムのコスプレをする人が増えて人気が高まりました。日本のヴェノム・ファンに何かメッセージをいただけますか?

日本のファンの皆さんも世界中のファンの皆さんと何も変わりません。人間は、みんな同じことに反応するんです。ヴェノムが日本で好かれているのも、世界中の人々が好いている理由と同じですよ。ヴェノムは、ただクールなんです!そうでしょ?日本でもみんな、『クール』が何かはわかりますよね?巨大なデカいやつが鉤爪を振り回しながら、大勢をなぎ倒していくのを見たくない人がどこにいます?しかもこいつには巨大な目と歯があって、鉄棒も曲げられるくらいの怪力で、すごくないですか?12歳でヴェノムを好きにならない子なんていない。だから、日本特有ってことじゃないと思う。たぶん、みんな、ちょっとした攻撃性が好きなんだな。ある種のアピールがあるんです。

── 日本にいらっしゃる予定はありますか?

「日本には行きたいですね!でも、まずは『スポーン』の映画を完成させたい。そしたら日本でいろんなクールなものを観せられたり、話したりできるし、出演者と一緒に行けるかもしれない。もちろん、今すぐにでも行くことはできるけど、もっと大きなことがしたい。日本には興奮を持っていきたいです。だから、『スポーン』が完成したら日本でプレミア上映をすることを約束しましょう。アメリカだけじゃなく、普段プレミアが開かれないような国を5、6ヶ国回りたい。自腹を切ることになってもやりますよ!

── 最後に、映画『ヴェノム』をブルーレイ&DVDで観る日本のファンに向けて一言お願いします。

『ヴェノム』のブルーレイ&DVDには1時間を越える映像特典が入ってる。これは重要ですよ。おそらく、映画を観た人たちには、原作コミックを読んだことがないという人が多数いると思います。ヴェノムというキャラクターをよく知らない人でも、この映像特典を観れば、トッド・マクファーレン並みにヴェノムのエキスパートになれますよ!

© 2018 Columbia Pictures Industries, Inc. and Tencent Pictures (USA) LLC. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: © & TM 2019 MARVEL.

もっと光を! アイデアと“夢のエネルギー”で画面の牢獄から抜け出した電子ゲーム『大脱走』

REVIEW

GAME

2018.11.16 FRI

ゲームがデータとして供給されるようになった現代から、遡ることおよそ40年の昔。当時、ゲームとはソフトでありハードであり、単一の“モノ”を指していた。

『電子ゲーム』。この80年代を代表するアイコンを単なる懐古趣味ではなく、ゲームが形を持たなくなった時代の崇敬すべきフェティッシュとして見直していくのが本連載の趣旨である。

日本の子供たちがこれまでになかった新しいおもちゃ、電子ゲームに熱狂していた1980年前後。しかし、視野を広げてみればこの時期は1978年のイラン革命を発端にした原油価格の上昇と供給危機、いわゆる第2次オイルショックの時期と重なる。そうして1980年にはNEDO(新エネルギー総合開発機構)が創設され、太陽光エネルギーに注目が集まっていた……。

そんなエネルギー情勢の中で1982年に登場したのが、バンダイのLCDソーラーパワーシリーズの電子ゲーム『大脱走』である。

『大脱走』(バンダイ/5400円 1982年)

「電子ゲームにソーラーパネルを使用したのは、バンダイのLCDソーラーパワーシリーズが初めてだと思います。電池が無用である代わりに強い光を当てていないと遊べず、つまり部屋の中でゴロゴロ寝転がりがら遊ぶことができないというデメリットもありました。しかし、光に当てれば電気が生まれ、ゲームが出来るという科学実験を思わせる仕組みは、当時の子供達の心を捉えたものです。また、同シリーズはソーラーパワーだけでなく、2画面構成になっていることも特徴。なかでもこの『大脱走』は場面転換が秀逸で、私が特に気に入っている電子ゲームの一つです」

そう語るのは、電子ゲームに詳しく、任天堂研究家・コレクターとしても知られる山崎功氏である。

蛍光管表示(FL)式ゲームは電池の消耗が激しく、ACアダプタまで買ってもらえなかった子供達を泣かせた。他方、電池の持ちはよかった液晶式でもボタン電池は高価であり、電池代はやはりバカにできなかった。100円均一がまだ登場していない当時、子供にとって(大人にとっても)電池は消耗品にしてはなかなかの値段がするものであったのだ。

また、視点をエネルギー情勢に戻せば“未来のエネルギー”ともてはやされた原子力発電が、1979年のスリーマイル島原子力発電所事故により大きくその存在が揺らいでいた、そんな時代の話である。「太陽にさえ当てればゲームができる」。この“夢のエネルギー”のわかりやすい実用化に、子供達の興味が注がれたことは想像に難くない。

なお、このゲームは「ソーラーパワー」を謳ってはいるが、室内灯でも条件を満たせば遊ぶことはできた。しかし、発電量の少なさ故、入力の度に画面表示が薄くなり、音も心もとないものになるなどのトラブルはつきもの。快適に遊ぶためにはやはり太陽光のあたる外で遊びたい。そこで携帯性を高め、また最も弱い部分である画面とソーラパネルの保護を目的にしたのだろう。本体は、2つに折りたためるようになっている。小さく折りたたんだものを展開すると、すごい能力を発揮する。このスパイのひみつ道具めいたギミックもまた子供たちにとっての魅力となっていた。

全く異なるゲーム性を持つ驚きの2パターン構成

さて、そのゲーム内容はというと、プレイヤーは囚人であり、看守の目をかいくぐって刑務所から脱走するというもの。通常、主人公は宇宙人や怪物と戦う善なるヒーローか、すくなくともハプニングに見舞われた無辜の存在であるがこのゲームでは自分が善人であるかどうかは疑わしい。同様のモチーフを持ったゲームは他にもあるが、いずれ、ピカレスク(悪漢)ロマンといった言葉もまだ知らない子供たちにとって、他のゲームにはない世界を感じさせるものであった。

ゲームはパターン1・牢の中ステージから始まる。プレイヤーは時折ドアを開けて様子を見にくる看守の目をかいくぐり、隠し持っていたノコギリで計3本ある鉄格子を順に切って外に脱出しなくてはならない。鉄格子は主人公が接触した状態で10回左ボタンを押すと切れるが、看守がドアをあけて中を見たときにはベットの位置につき、壁に貼ってある水着のポスターを見ているフリをしなければ1ミス、鉄格子は強制的に3本に戻る。

このゲームの世界では、脱獄の計画、すなわち鉄格子を意識している様子を見咎められないことが重要なはずであり、であれば主人公がベッドで寝たふりをする描画があれば十分なことになる。なのに、あえて「水着のポスター」を登場させる(子供向けゲームとしては)“ダーティー”な演出に、思わずニヤリとさせられる。

そんなこんなで、計3本の鉄格子を無事、切り落とせば次のパターンに進むことになる。

鉄格子を破った窓を抜けるとそこは第2のパターン・刑務所の壁の外だ。無数の警察犬が襲ってくる上に警官が壁の上から身を乗り出して銃を撃ちまくってくる。(警察犬、警官は説明書の表記通り。「看守では?」などの疑問はさておこう)

看守が見ているあいだは大人しくし、隙を見ては連打で鉄格子を切る。この「静と動」で成り立っていたパターン1とは違い、ひたすら「動」が要求されるのが、パターン2の特徴となっている。そうして画面左に時折やってくる仲間のトラックに乗ればまんまと脱出成功、500点のボーナスが入りまたパターン1に戻る……という流れである。

The Great Escape。単一画面ゲームからの、大いなる脱走

このように、『大脱走』は刑務所の内と外を舞台に展開するアクションゲームであるが、現在の携帯ハード機のように、画面はドットで構成されているわけではないのでその描画は不自由なもの。白(というか透明)黒の液晶画面のなかであらかじめいくつか用意したキャラの動きを描写する単純なパターンを点滅させるしかない。

そんな制約のなか、牢のステージのキャラクターと背景の一部を表示するための液晶画面、刑務所外のキャラクターと背景の一部を表示させるための液晶画面。この2枚の透明な液晶のパネルを重ねることで、1画面でありながら、バラエティに富んだキャラの動き、ゲーム性をもたらすことが可能になっている。

さらに、画面の再奥にプリントによって描かれた背景の使い方、そのアイデアの秀逸さにも注目しておきたい。牢獄のシーンではポスターが貼られた部屋の右壁の役割を果たしていた部分が、外のシーンでは脱走の際に使ったのであろうロープが上から垂れ下がった外壁として使われている。また、牢の鉄格子を支えていた左壁の上端は、下部に植え込みを配置することで今度は刑務所の壁の外を走る道路のカーブを描き出しているのだ。

変えることのできない絵でしかない背景が、液晶画面で描画を重ねて早変わりの舞台装置の役目を見事に果たす。当時のハイテクから、アイデア勝負のローテクまで。双方が詰まったモノとしての魅力に溢れる存在であることがお判りいただけただろうか。

電池の消耗を気にせざるを得ず、ステージ構成は1パターンのみで複雑な演出、場面転換ができない。そんな当時の電子ゲームの限界、いや、牢獄からまさに大脱走を果たしたのがこのゲーム『大脱走』なのである。

文:のび@びた
撮影:さとうひろき

<監修>
山崎 功(やまざき いさお)
任天堂研究家・コレクター、電子ゲーム・レトロゲーム好き。「懐かしの電子ゲーム大博覧会」「任天堂コンプリートガイド」など多数の著書あり。
https://twitter.com/yamazaki_isao
http://happy-today.org/nintendo/

建築・探索・戦闘,壮大な工場都市を築き上げる『Satisfactory』一人称視点のオープンワールドゲーム

NEWS

GAME

2019.03.24 SUN

一人称視点のオープンワールドゲーム『Satisfactory』。Coffee Stain Studiosが開発を手がける本作のアーリーアクセスがEPIC Gamesにて開始された。

『Satisfactory』にてプレイヤーは、FICSIT社のエンジニアとして、謎の計画Project Assemblyを遂行するために、未知の世界で探索や戦闘を行いながら工場を作り、価値があるものを生産していく。

生産機械を建て、様々な組み合わせができる生産ラインをスムーズに動くよう整理していくのだが、電力の管理などもプレイヤーの仕事となっている。安定した生産ラインが完成したら、流れを自動化することも可能だ。こうして作業効率を上げ、生産を拡大していく。

生産の拡大を進めていくと、特殊素材などが必要となってくるのだが、そういう時は惑星を探索し、エイリアンと戦いアイテムを奪い取る。

建築・探索・戦闘と、様々な要素が詰め込まれた本作は、時間を忘れてゲームの世界に入り浸ってしまいそうさタイトルだ。

EPIC Games Satisfactory
https://www.epicgames.com/store/en-US/product/satisfactory/home