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多用なゲームエンジンの世界 ── ゲーム創造の源「ゲームエンジン」を知る Vol.2

COLUMN

GAME

2018.11.09 FRI

前回の記事では、みなさんに「ゲームエンジン」の役割と主な製品として、Unreal Engine 4・Unity・GameMaker Studio 2の3つを紹介した。しかし、他にも数多くのゲームエンジンがあり、目的や機能はそれぞれ異なる。本記事では、さらにゲームエンジンの世界を掘り下げていきたい。

CRYENGINE Ⅴ と Amazon Lumberyard

ゲーム開発会社へライセンスしているゲームエンジンで、ハイエンドな作品作りを目指せる開発環境はUE4とUnityの2つだけではない。現在も進歩を続けるゲームエンジンとして、CRYENGINE V とAmazon Lumberyardについても紹介したい。

1 ─ CRYENGINE Ⅴ

https://www.cryengine.com/

CRYENGINE VはドイツにあるCrytek社によって開発されているゲームエンジンだ。

開発者は基本無料で利用することができ、開発者が支払いたいだけ支払う「Pay What You Want」の仕組みを取っていることも大変ユニークだ。

当初からウルトラハイエンドなグラフィクスを目指して作られた本エンジンは、PS3/Xbox.360/Wii U世代ではUnreal Engineシリーズと双璧をなす存在であった。Unreal Engiene 4が安価な月額モデルから初期費用無料に移行していたあたりで競争に負け始め、現在は利用するゲーム開発会社は減少している。
しかしながら、Oculus RiftなどのVR向けの機能を拡充するなど、まだまだ進化が見込めるゲームエンジンである。

そして、このCRYENGINEには実は血を分けた兄弟がいる。あのAmazonが有するゲームエンジンLumberyardは、Crytek社の協力のもと、CRYENGINEをベースとして派生して作られたものだ。

2 ─ Amazon Lumberyard

https://aws.amazon.com/jp/lumberyard/

Amazonは通販でおなじみの存在だが、実はコンピュータビジネス向けのサーバーサービス「Amazon Web Services (AWS)」としての存在も大きい。
ゲーム業界でも欠かせない存在であり、多くのゲームの通信対戦やプレイヤーデータのサーバー管理などに利用されている。そして、AWSはいかなるゲームエンジン、ゲーム開発環境でも利用できるのだが、Amazonが特にAWSの利用者にむけて用意したのがLumberyardである。
完全無料で使用できるゲームエンジンだが、サーバー機能を使う場合は必ずAWSを利用する規約になっている。その出自から、ネットワーク系機能を簡単に作れるシステムが組み込まれていることが特徴だ。

また、最も特徴的なのが、ゲーマー向けビデオストリーミングサービス「Twitch」との機能統合である。ゲーマーならば、Twitchで放送されている実況動画を見たことがあるだろう。
Twitchはしばらく前にAmazonが買収し、同社の提供するサービスの一部となっている。

一部の対戦ゲームでは、Twitchアプリから放送中のゲーム内の情報を閲覧できたり、今見ている対戦生放送に対して視聴者がアクションできたりする機能が備わっている。 Lumberyardは、その仕組みを最初から内包している点が非常にユニークだ。

本エンジンの発表からしばらく利用タイトルが伸び悩んでいたが、自社のコンテンツであるAmazon Prime Videoの車番組「The Grand Tour」のゲーム版が、商用第一弾のゲームになるようだ。

オープンソースのゲームエンジンたち

これまで紹介したゲームエンジンは企業が営利のために開発しているものだが、コミュニティが開発を先導していくオープンソース型のゲームエンジンも存在する。

かつて日本のモバイルゲームでも多く採用されていたのがCocos2d-xとCocos2d-js(HTML5)だ。

3 ─ Cocos2d-x

http://www.cocos2d-x.org/

Cocos2d-xは中国の北京のChukong Technologiesが開発したオープンソースのゲームエンジンで、名前の通り2Dゲームに特化している。
エンジンのデータ容量が軽量であったこともあり、スマートフォンゲームの発展過程では大変重宝され、一時期は日本支社もできるほど利用者が増えていたが、スマホゲームの3D化や端末の性能向上、Unityの2D機能強化による追い上げから、日本での利用者数は減ってしまった。

しかし、アジアではまだまだ人気がある。2Dベースの軽量なゲームが好まれることと、近年はアプリをインストールせずにブラウザ上で遊ぶことができるブラウザゲームの人気が再び高まっているからだ。

4 ─ Egret Technology

https://www.egret.com/en/

同じく北京のEgret TechnologyがリリースしているEgret Engineは、まさにそのブラウザゲームでの利用を中心に添えたゲームエンジンだ。現在は中国語圏でしかほとんど使用されておらず、筆者の知る限り日本での事例はないが、今後は世界的に広がる可能性もある。

5 ─ Godot Engine

https://godotengine.org/

3Dも扱うことのできるオープンソースエンジンとしてはGodot Engineという存在もある。こちらも日本での事例を見ないが、どうやら中南米やヨーロッパ圏では事例があるようだ。

ゲーム会社が自社専用に開発したゲームエンジンたち

現代では一般的にゲームエンジンというと、ゲーム開発者が何らかのライセンスを得て自らのゲーム開発に利用できるソフトウェアのことを指すことが多い。しかしながら、ゲームの開発会社が社内で開発し、自社のタイトル開発にのみ利用するゲームエンジンというものも存在する。その会社の強みやジャンルに特化した技術の塊である。
このセクションでは代表的な「社内専用ゲームエンジン」について紹介する。

6 ─ Frostbyte

FrostbyteはEA DICE社が開発したゲームエンジンだ。近日発売の「Battlefield V」にも使用されている。同シリーズの破壊表現や多人数のオンラインマルチプレイを支えている技術といえる。

7 ─ DECIMA

DECIMAは、オランダのGuerrilla Gamesが開発する社内用エンジンである。
これまで「Killzone」シリーズや「Horizon Zero Dawn」をに使用されており、同ゲームエンジンはGuerrillaが自分たちのために用意したものではあるが、ゲームクリエイター小島秀夫氏率いるKojima Productionが「DEATH STRANDING」の開発に使用すると宣言したことでも話題になった。

Guerrilla社がソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のセカンドパーティー(PlayStation4向けのゲーム開発を専用に行う会社)であること、「DEATH STRANDING」も同様にSIEの資金で開発されているという経緯から、限定的に技術供与する形になったそうだ。
DECIMAは「Horizon Zero Dawn」を見るに、オープンワールドなどフィールドが広いゲームの開発に強い傾向にあるといえるだろう。

8 ─ UbiArt Framework

UbiArt Frameworkは、2Dの表現にこだわり設計されたゲームエンジンだ。その名の通りフランスのゲーム企業Ubisoftが社内で開発し、「Child of light」「Valiant Hearts -The Great War-」などの少数スタッフによる2Dゲームシリーズに使用している。特徴としては、特にビジュアルアーティストが作業しやすいように設計されている、という思想だ。

Ubisoftは多数のタイトルシリーズとスタジオを抱えているが、「Tom Clancy’s The Division」にはSnowdrop Engine、「Assassin’s Creed」や「Tom Clancy’s Ghost Recon」シリーズではAnvilNext、「Far Cry」シリーズにはDunia Engineなど、スタジオごとにゲームエンジンを用意している傾向にある。

9 ─ RE ENGINE

「バイオハザード7 レジデント イービル」の開発のために登場したこちらのエンジンは、フォトリアルな映像と、開発とテストプレイや検証を高速に繰り返してゲームを良いものにしていく「イテレーション」の実現に重きを置いたゲームエンジンだと言われている。
現在では開発中の「バイオハザード RE:2」で使用されているそうだ。カプコンはMT Frameworkというゲームエンジンも有している。こちらは「モンスターハンター:ワールド」で大幅に改造されたのち使用されている。

ゲームを支える技術の結晶であるゲームエンジン

まだまだある。StencylやClickteam Fusion 2.5などの海外インディーゲームで利用されているエンジンや、任天堂謹製のBezel Engineもある。そして、RPGツクールシリーズやSmile Game BuilderなどのRPG作成ツールも、販売できるゲームを作れるという点では広義のゲームエンジンだ。

ゲームエンジンはゲームクリエイターの活動を支え、表現力の幅を広げる強力なツールだ。機能の奥深くを使いこなすまでには鍛錬が必要だが、これの技術の発展とコモディティ化によって今日の多彩なゲーム市場があるといえるだろう。

文:一條貴彰(いちじょう たかあき)
株式会社ヘッドハイ代表・ゲーム作家。ゲーム機向けインディーゲーム開発の傍ら、ゲーム開発技術に関するコンサルティング事業を行う。参加書籍「Unityゲーム プログラミング・バイブル」「Unityネットワークゲーム開発 実践入門」。
http://head-high.com/

もっと光を! アイデアと“夢のエネルギー”で画面の牢獄から抜け出した電子ゲーム『大脱走』

REVIEW

GAME

2018.11.16 FRI

ゲームがデータとして供給されるようになった現代から、遡ることおよそ40年の昔。当時、ゲームとはソフトでありハードであり、単一の“モノ”を指していた。

『電子ゲーム』。この80年代を代表するアイコンを単なる懐古趣味ではなく、ゲームが形を持たなくなった時代の崇敬すべきフェティッシュとして見直していくのが本連載の趣旨である。

日本の子供たちがこれまでになかった新しいおもちゃ、電子ゲームに熱狂していた1980年前後。しかし、視野を広げてみればこの時期は1978年のイラン革命を発端にした原油価格の上昇と供給危機、いわゆる第2次オイルショックの時期と重なる。そうして1980年にはNEDO(新エネルギー総合開発機構)が創設され、太陽光エネルギーに注目が集まっていた……。

そんなエネルギー情勢の中で1982年に登場したのが、バンダイのLCDソーラーパワーシリーズの電子ゲーム『大脱走』である。

『大脱走』(バンダイ/5400円 1982年)

「電子ゲームにソーラーパネルを使用したのは、バンダイのLCDソーラーパワーシリーズが初めてだと思います。電池が無用である代わりに強い光を当てていないと遊べず、つまり部屋の中でゴロゴロ寝転がりがら遊ぶことができないというデメリットもありました。しかし、光に当てれば電気が生まれ、ゲームが出来るという科学実験を思わせる仕組みは、当時の子供達の心を捉えたものです。また、同シリーズはソーラーパワーだけでなく、2画面構成になっていることも特徴。なかでもこの『大脱走』は場面転換が秀逸で、私が特に気に入っている電子ゲームの一つです」

そう語るのは、電子ゲームに詳しく、任天堂研究家・コレクターとしても知られる山崎功氏である。

蛍光管表示(FL)式ゲームは電池の消耗が激しく、ACアダプタまで買ってもらえなかった子供達を泣かせた。他方、電池の持ちはよかった液晶式でもボタン電池は高価であり、電池代はやはりバカにできなかった。100円均一がまだ登場していない当時、子供にとって(大人にとっても)電池は消耗品にしてはなかなかの値段がするものであったのだ。

また、視点をエネルギー情勢に戻せば“未来のエネルギー”ともてはやされた原子力発電が、1979年のスリーマイル島原子力発電所事故により大きくその存在が揺らいでいた、そんな時代の話である。「太陽にさえ当てればゲームができる」。この“夢のエネルギー”のわかりやすい実用化に、子供達の興味が注がれたことは想像に難くない。

なお、このゲームは「ソーラーパワー」を謳ってはいるが、室内灯でも条件を満たせば遊ぶことはできた。しかし、発電量の少なさ故、入力の度に画面表示が薄くなり、音も心もとないものになるなどのトラブルはつきもの。快適に遊ぶためにはやはり太陽光のあたる外で遊びたい。そこで携帯性を高め、また最も弱い部分である画面とソーラパネルの保護を目的にしたのだろう。本体は、2つに折りたためるようになっている。小さく折りたたんだものを展開すると、すごい能力を発揮する。このスパイのひみつ道具めいたギミックもまた子供たちにとっての魅力となっていた。

全く異なるゲーム性を持つ驚きの2パターン構成

さて、そのゲーム内容はというと、プレイヤーは囚人であり、看守の目をかいくぐって刑務所から脱走するというもの。通常、主人公は宇宙人や怪物と戦う善なるヒーローか、すくなくともハプニングに見舞われた無辜の存在であるがこのゲームでは自分が善人であるかどうかは疑わしい。同様のモチーフを持ったゲームは他にもあるが、いずれ、ピカレスク(悪漢)ロマンといった言葉もまだ知らない子供たちにとって、他のゲームにはない世界を感じさせるものであった。

ゲームはパターン1・牢の中ステージから始まる。プレイヤーは時折ドアを開けて様子を見にくる看守の目をかいくぐり、隠し持っていたノコギリで計3本ある鉄格子を順に切って外に脱出しなくてはならない。鉄格子は主人公が接触した状態で10回左ボタンを押すと切れるが、看守がドアをあけて中を見たときにはベットの位置につき、壁に貼ってある水着のポスターを見ているフリをしなければ1ミス、鉄格子は強制的に3本に戻る。

このゲームの世界では、脱獄の計画、すなわち鉄格子を意識している様子を見咎められないことが重要なはずであり、であれば主人公がベッドで寝たふりをする描画があれば十分なことになる。なのに、あえて「水着のポスター」を登場させる(子供向けゲームとしては)“ダーティー”な演出に、思わずニヤリとさせられる。

そんなこんなで、計3本の鉄格子を無事、切り落とせば次のパターンに進むことになる。

鉄格子を破った窓を抜けるとそこは第2のパターン・刑務所の壁の外だ。無数の警察犬が襲ってくる上に警官が壁の上から身を乗り出して銃を撃ちまくってくる。(警察犬、警官は説明書の表記通り。「看守では?」などの疑問はさておこう)

看守が見ているあいだは大人しくし、隙を見ては連打で鉄格子を切る。この「静と動」で成り立っていたパターン1とは違い、ひたすら「動」が要求されるのが、パターン2の特徴となっている。そうして画面左に時折やってくる仲間のトラックに乗ればまんまと脱出成功、500点のボーナスが入りまたパターン1に戻る……という流れである。

The Great Escape。単一画面ゲームからの、大いなる脱走

このように、『大脱走』は刑務所の内と外を舞台に展開するアクションゲームであるが、現在の携帯ハード機のように、画面はドットで構成されているわけではないのでその描画は不自由なもの。白(というか透明)黒の液晶画面のなかであらかじめいくつか用意したキャラの動きを描写する単純なパターンを点滅させるしかない。

そんな制約のなか、牢のステージのキャラクターと背景の一部を表示するための液晶画面、刑務所外のキャラクターと背景の一部を表示させるための液晶画面。この2枚の透明な液晶のパネルを重ねることで、1画面でありながら、バラエティに富んだキャラの動き、ゲーム性をもたらすことが可能になっている。

さらに、画面の再奥にプリントによって描かれた背景の使い方、そのアイデアの秀逸さにも注目しておきたい。牢獄のシーンではポスターが貼られた部屋の右壁の役割を果たしていた部分が、外のシーンでは脱走の際に使ったのであろうロープが上から垂れ下がった外壁として使われている。また、牢の鉄格子を支えていた左壁の上端は、下部に植え込みを配置することで今度は刑務所の壁の外を走る道路のカーブを描き出しているのだ。

変えることのできない絵でしかない背景が、液晶画面で描画を重ねて早変わりの舞台装置の役目を見事に果たす。当時のハイテクから、アイデア勝負のローテクまで。双方が詰まったモノとしての魅力に溢れる存在であることがお判りいただけただろうか。

電池の消耗を気にせざるを得ず、ステージ構成は1パターンのみで複雑な演出、場面転換ができない。そんな当時の電子ゲームの限界、いや、牢獄からまさに大脱走を果たしたのがこのゲーム『大脱走』なのである。

文:のび@びた
撮影:さとうひろき

<監修>
山崎 功(やまざき いさお)
任天堂研究家・コレクター、電子ゲーム・レトロゲーム好き。「懐かしの電子ゲーム大博覧会」「任天堂コンプリートガイド」など多数の著書あり。
https://twitter.com/yamazaki_isao
http://happy-today.org/nintendo/

“宇宙最速のあのヒーロー”ついにハリウッド実写映画化 『ソニック・ザ・ムービー』 青い光のシルエット

NEWS

GAME

2018.12.12 WED

1991年に記念すべきゲーム1作目が株式会社セガ・エンタープライゼスから発売され、目にも止まらぬスピードでゲームステージを駆け抜ける革新的なゲーム性と、音速で走る青いハリネズミ ソニックのクールなキャラクターが日本を始め、世界のゲームファンの心をつかみ、愛され続ける「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」シリーズ。

全世界でシリーズ延べ約8億人(ダウンロードも含む)が熱狂した日本発の大人気キャラクターがハリウッド実写映画化。その邦題が『ソニック・ザ・ムービー』(原題:Sonic The Hedgehog)に決定した。

『ソニック・ザ・ムービー』2019年11月に全米公開予定。日本公開時期は近日発表

本作は、宇宙最速で走るパワーを授かった青いハリネズミのソニックが、警官のトムとバディを組み、宿敵マッドサイエンティスト ドクター・エッグマンの恐るべき陰謀に立ち向かうべく、世界を股に繰り広げるアクション満載の冒険エンターテイメント。

ソニックとバディを組むことになる警官役には、『X-MEN』 シリーズのサイクロプス役で一躍有名スター入りを果たしたジェームズ・マースデン。そして、毎回ゲームでソニックを追い詰める狂気のマッドサイエンティスト ドクター・エッグマンには、『マスク』(94)などのエキセントリックなキャラクター演技が映画ファンの記憶に残るジム・キャリーが決定。一度見ると忘れないエッグマンの風貌を、どう再現するのか期待が高まる。

『ワイルド・スピード』シリーズのニール・H・モリッツと、『デッドプール』のティム・ミラーがプロデュースし、監督には2004 年に「Gopher Broke(原題)」がアカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされたジェフ・フォウラーが、長編、そして実写初監督に大抜擢。才能溢れるキャスト・スタッフが揃い、世界的人気ゲームキャラクターにどのように命を吹き込むのか、映像の完成が待たれる。

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