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2018年、もっと夢中にするメディア「マグ」誕生

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VRの中のVRの中のVRの中の… ── Oculusだからこそ実現したメタ構造アドベンチャー『Virtual Virtual Reality』

REVIEW

GAME

2018.08.31 FRI

AIの進歩が目まぐるしい。将棋AIが初めてプロ棋士に勝利したのは2013年。以降も進化を続け、2017年には将棋界の最高位とされる名人まで倒してしまった。AIが勝利するのは10年は先になるだろうと見られていた囲碁でも、トップ棋士に勝利している。最近では、より素早い処理を求められる『スタークラフト』などのコンピューターゲームの対人戦の、研究も進められているようだ。

一方、AIは我々にとってかなり身近になっている。iPhoneのSiriに明日の天気やグルメ情報を聞くことに慣れ、ルンバが部屋の状況に応じて効率的に掃除する姿を不思議と思わなくなった。

AIが凄まじい進化を遂げ、身近な存在になった結果、「AIが人間の仕事を奪う」と危機感をあおる記事や書籍も目にするようになった。たしかにこのまま進化が続けば、現在人間が行う仕事がAIに取って代わられる未来も、そう遠くないのかもしれない。

『Virtual Virtual Reality』は、労働のほとんどをAIがこなす世界で、数少ない人間の労働者として働くという設定のゲームだ。舞台は、人間が行うほうがよいと判断された仕事をAIが提供するシステム「Activitude」。人間労働者として登録されたプレイヤーが、顧客となるAIから指示を受け、作業を行うところから物語が始まる。

VRの中でVRヘッドセットを被る
メタ的で新感覚なゲーム体験

本作品で目を引くのは、VRの中でVRを体験するというメタな構造。例えば、プレイヤーに仕事の依頼が来ると、VRヘッドセットが渡される。それを被ることで仕事場に向かうことができるのだが、そもそもこのゲームをプレイするためにOculus Goを被ったのに、ゲーム内でもヘッドセットを被るというのは、不思議な感覚だ。

そして、ヘッドセットを被って向かった仕事場では、さらに別の場所へ移動できるヘッドセットが置かれていることも。ヘッドセットを被って移動を繰り返すたびに「ヴァーチャルの中のヴァーチャルの中のヴァーチャルの中の…」と重層構造が続き、現在地がどこなのかわからなくなってくる。

ゲームを一時中断し、Oculus Goを脱いだ後もまだヴァーチャルな世界にいるような感覚に陥る……というのは大げさだが、ゲームを中断しているのに、現実がゲームの中の世界と地続きになっているような、なんとも言えない感覚になることだろう。

AIとバーチャルリアリティが実現した理想郷とその裏側

本作でAIから依頼される仕事は、トーストにバターを塗る作業、花への水やりといったものから、西部劇を連想させる回転草を風で転がすといったヘンテコなものまで、さまざま。

そして、仕事場はピンクを基調としたキッチンだったり、たくさんの植物が植えられたのどかな庭園だったりとポップな印象だ。AIに仕事を奪われた世界をディストピアのように思う人も少なくないが、ゲーム内では「AIに指示されながら、のんびり仕事をこなす世界も悪くないかも」と思わせるユートピアな世界が広がっている。(しかし、作業後には正確性を欠くことをAIから酷評されるため、その思いはすぐに失われるのだが……)

さらに、浜辺でただただ夕焼けや日没を眺める作業を依頼され、「仕事とは一体なんだろう?」と考えさせられる場面も。仕事に疲れた現代人への皮肉なのだろうか……。

ここまでであれば、職業体験が楽しめるVRゲーム『Job Simulator』を思い起こすかもしれないが、本作はそれとは一線を画す。というのも、ひと通りの仕事を体験した後、人間労働ユニオンなる存在から、あるアイテムを渡されるのだ。

このアイテムは、家具や看板などのActivitude内のさまざまなオブジェクトを吸い込むことができるほか、オブジェクトの復元も可能。そして、仕事場の壁を吸い込んだ際には、ダークな雰囲気のActivitudeの裏側に行くこともできるのだ。

ここからは単なる職業体験ゲームではなく、Activitudeの中枢部へ行き、彼らの目的を探ることが目標となる。もちろん、これまでプレイヤーに仕事を提供していたActivitudeのAIたちも黙っていない。プレイヤーを元の人間労働者に戻そうと躍起になって追ってくるのだ。

彼らの目をかいくぐり、真相を見つけられるかはプレイヤー次第。1000円未満で甲奴湯できるコンテンツとは思えないストーリーと世界観に驚かされること間違いなしだろう。

文:杉山大祐/ノオト

Virtual Virtual Reality
https://www.oculus.com/experiences/go/1389161184521528/

もっと光を! アイデアと“夢のエネルギー”で画面の牢獄から抜け出した電子ゲーム『大脱走』

REVIEW

GAME

2018.11.16 FRI

ゲームがデータとして供給されるようになった現代から、遡ることおよそ40年の昔。当時、ゲームとはソフトでありハードであり、単一の“モノ”を指していた。

『電子ゲーム』。この80年代を代表するアイコンを単なる懐古趣味ではなく、ゲームが形を持たなくなった時代の崇敬すべきフェティッシュとして見直していくのが本連載の趣旨である。

日本の子供たちがこれまでになかった新しいおもちゃ、電子ゲームに熱狂していた1980年前後。しかし、視野を広げてみればこの時期は1978年のイラン革命を発端にした原油価格の上昇と供給危機、いわゆる第2次オイルショックの時期と重なる。そうして1980年にはNEDO(新エネルギー総合開発機構)が創設され、太陽光エネルギーに注目が集まっていた……。

そんなエネルギー情勢の中で1982年に登場したのが、バンダイのLCDソーラーパワーシリーズの電子ゲーム『大脱走』である。

『大脱走』(バンダイ/5400円 1982年)

「電子ゲームにソーラーパネルを使用したのは、バンダイのLCDソーラーパワーシリーズが初めてだと思います。電池が無用である代わりに強い光を当てていないと遊べず、つまり部屋の中でゴロゴロ寝転がりがら遊ぶことができないというデメリットもありました。しかし、光に当てれば電気が生まれ、ゲームが出来るという科学実験を思わせる仕組みは、当時の子供達の心を捉えたものです。また、同シリーズはソーラーパワーだけでなく、2画面構成になっていることも特徴。なかでもこの『大脱走』は場面転換が秀逸で、私が特に気に入っている電子ゲームの一つです」

そう語るのは、電子ゲームに詳しく、任天堂研究家・コレクターとしても知られる山崎功氏である。

蛍光管表示(FL)式ゲームは電池の消耗が激しく、ACアダプタまで買ってもらえなかった子供達を泣かせた。他方、電池の持ちはよかった液晶式でもボタン電池は高価であり、電池代はやはりバカにできなかった。100円均一がまだ登場していない当時、子供にとって(大人にとっても)電池は消耗品にしてはなかなかの値段がするものであったのだ。

また、視点をエネルギー情勢に戻せば“未来のエネルギー”ともてはやされた原子力発電が、1979年のスリーマイル島原子力発電所事故により大きくその存在が揺らいでいた、そんな時代の話である。「太陽にさえ当てればゲームができる」。この“夢のエネルギー”のわかりやすい実用化に、子供達の興味が注がれたことは想像に難くない。

なお、このゲームは「ソーラーパワー」を謳ってはいるが、室内灯でも条件を満たせば遊ぶことはできた。しかし、発電量の少なさ故、入力の度に画面表示が薄くなり、音も心もとないものになるなどのトラブルはつきもの。快適に遊ぶためにはやはり太陽光のあたる外で遊びたい。そこで携帯性を高め、また最も弱い部分である画面とソーラパネルの保護を目的にしたのだろう。本体は、2つに折りたためるようになっている。小さく折りたたんだものを展開すると、すごい能力を発揮する。このスパイのひみつ道具めいたギミックもまた子供たちにとっての魅力となっていた。

全く異なるゲーム性を持つ驚きの2パターン構成

さて、そのゲーム内容はというと、プレイヤーは囚人であり、看守の目をかいくぐって刑務所から脱走するというもの。通常、主人公は宇宙人や怪物と戦う善なるヒーローか、すくなくともハプニングに見舞われた無辜の存在であるがこのゲームでは自分が善人であるかどうかは疑わしい。同様のモチーフを持ったゲームは他にもあるが、いずれ、ピカレスク(悪漢)ロマンといった言葉もまだ知らない子供たちにとって、他のゲームにはない世界を感じさせるものであった。

ゲームはパターン1・牢の中ステージから始まる。プレイヤーは時折ドアを開けて様子を見にくる看守の目をかいくぐり、隠し持っていたノコギリで計3本ある鉄格子を順に切って外に脱出しなくてはならない。鉄格子は主人公が接触した状態で10回左ボタンを押すと切れるが、看守がドアをあけて中を見たときにはベットの位置につき、壁に貼ってある水着のポスターを見ているフリをしなければ1ミス、鉄格子は強制的に3本に戻る。

このゲームの世界では、脱獄の計画、すなわち鉄格子を意識している様子を見咎められないことが重要なはずであり、であれば主人公がベッドで寝たふりをする描画があれば十分なことになる。なのに、あえて「水着のポスター」を登場させる(子供向けゲームとしては)“ダーティー”な演出に、思わずニヤリとさせられる。

そんなこんなで、計3本の鉄格子を無事、切り落とせば次のパターンに進むことになる。

鉄格子を破った窓を抜けるとそこは第2のパターン・刑務所の壁の外だ。無数の警察犬が襲ってくる上に警官が壁の上から身を乗り出して銃を撃ちまくってくる。(警察犬、警官は説明書の表記通り。「看守では?」などの疑問はさておこう)

看守が見ているあいだは大人しくし、隙を見ては連打で鉄格子を切る。この「静と動」で成り立っていたパターン1とは違い、ひたすら「動」が要求されるのが、パターン2の特徴となっている。そうして画面左に時折やってくる仲間のトラックに乗ればまんまと脱出成功、500点のボーナスが入りまたパターン1に戻る……という流れである。

The Great Escape。単一画面ゲームからの、大いなる脱走

このように、『大脱走』は刑務所の内と外を舞台に展開するアクションゲームであるが、現在の携帯ハード機のように、画面はドットで構成されているわけではないのでその描画は不自由なもの。白(というか透明)黒の液晶画面のなかであらかじめいくつか用意したキャラの動きを描写する単純なパターンを点滅させるしかない。

そんな制約のなか、牢のステージのキャラクターと背景の一部を表示するための液晶画面、刑務所外のキャラクターと背景の一部を表示させるための液晶画面。この2枚の透明な液晶のパネルを重ねることで、1画面でありながら、バラエティに富んだキャラの動き、ゲーム性をもたらすことが可能になっている。

さらに、画面の再奥にプリントによって描かれた背景の使い方、そのアイデアの秀逸さにも注目しておきたい。牢獄のシーンではポスターが貼られた部屋の右壁の役割を果たしていた部分が、外のシーンでは脱走の際に使ったのであろうロープが上から垂れ下がった外壁として使われている。また、牢の鉄格子を支えていた左壁の上端は、下部に植え込みを配置することで今度は刑務所の壁の外を走る道路のカーブを描き出しているのだ。

変えることのできない絵でしかない背景が、液晶画面で描画を重ねて早変わりの舞台装置の役目を見事に果たす。当時のハイテクから、アイデア勝負のローテクまで。双方が詰まったモノとしての魅力に溢れる存在であることがお判りいただけただろうか。

電池の消耗を気にせざるを得ず、ステージ構成は1パターンのみで複雑な演出、場面転換ができない。そんな当時の電子ゲームの限界、いや、牢獄からまさに大脱走を果たしたのがこのゲーム『大脱走』なのである。

文:のび@びた
撮影:さとうひろき

<監修>
山崎 功(やまざき いさお)
任天堂研究家・コレクター、電子ゲーム・レトロゲーム好き。「懐かしの電子ゲーム大博覧会」「任天堂コンプリートガイド」など多数の著書あり。
https://twitter.com/yamazaki_isao
http://happy-today.org/nintendo/

リアルタイムアセット制作未経験の方のために『映像屋さんの為のリアルタイムBG制作』無料配布を発表

NEWS

ANIME

2018.11.18 SUN

株式会社ポリゴン・ピクチュアズの関連会社である株式会社エレメントファクトリーが、リアルタイム制作未経験者に役立つ入門書『映像屋さんの為のリアルタイムBG制作』を無料配布することを発表した。

リアルタイムアセット制作未経験のCGアーティストに向けた教育用マニュアル

『映像屋さんの為のリアルタイムBG制作』は、世界的なゲーム開発エンジンである「アンリアルエンジン」を利用したアセット制作のマニュアルだ。

昨今ではゲーム・VR・イベントなど、さまざまなメディア、ジャンルでリアルタイム用アセットが活用され、その技術の進歩によってプリレンダリングのアセットに勝るとも劣らないクオリティを実現している。またデジタルコンテンツ市場においても、今後さらにインタラクティブ性の高いソフトウェアの拡大が予想されている。

この時代背景を考慮し、今後のデジタルコンテンツ制作業界の技術向上に寄与するため、当該マニュアルを、これまでリアルタイムアセット制作に触れてこなかったCGアーティストのためのリアルタイムアセット制作の入門書として、エレメントファクトリーのホームページにて無料で提供される。

エレメントファクトリー
https://www.element-factory.co.jp/