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押井守の偏愛の真相「自分の作品はフェティッシュの塊」 ── 「シネマの神は細部に宿る」発売記念トークショー

NEWS

ANIME

2018.08.23 THU

「シネマの神は細部に宿る」押井守/著 (東京ニュース通信社発行)が2018年8月8日(水)に発売され、これを記念した会見とトークショーが8月21日(火)に都内にて行われた。

この日、会見で本書を作ることになった経緯について聞かれた押井は、「忘れちゃった…」とさっそくお茶目な一面を見せ、「これの前に出したジブリ本(「誰も語らなかったジブリを語ろう」 押井守/箸)の打ち上げで、酔っ払ってる時に麻紀さん(本書の聞き手でもある映画ライターの渡辺麻紀)が『また本出しましょうよ』と言って、『だったらこういう本がいいんじゃないの?』と僕が言ったような気がする。もしかしたらねつ造してるかもしれない」と笑った。

そんな本書誕生の一端を担った渡辺について押井は、「見ている映画が結構被っているんですよ。趣味が似ているところがある」とコメント。「たぶん似たような映画を見てきたんだろうなと。ただ全然(映画の)違うところを見ているに違いないって予想をしていたら、見事にそうだったんですよ。あんた一体どこ見てたのっていうところからこの本が始まった」と語った。

「映画の半分より1パーセント多いくらいは、本質はフェチ。それがなかったら同じ映画を二回も三回も誰も見ない」

押井は本書を通して「同じ映画を何度も見る理由はなんなんだ」という疑問を考えたかったと告白。「アニメーターあがりとか絵描き系の監督さんは、本人が自覚しているかは別としてフェティッシュがもろに出やすい」と続け、「サンプルにするのにもっと適当な監督は他にいっぱいいるんですけど、怒られたくないので、自分のフェチで(本を書いた)」と本音もこぼした。

また、「ただそれが自作自演になっちゃうとまずいので、ものわかりが非常に良くない、なかなか納得しない、でも映画をいっぱい見ている麻紀さんはまさに適任なわけですよね」と、本書が渡辺を聞き手とした構成となった理由も明かし、「わかるわかるになってしまったらおもしろくない。それは麻紀さんにもフェティッシュがあるから。それは誰でもそういうところがあるわけで、一番そこを面白おかしく気楽にわかってほしくって、こういう形式にした。真面目に論じるとね、誰も読めないしどうせ売れないし」と笑い、「布団の中で読めるものを目指そうと思った」と本書の誕生秘話を締めくくった。

そして、話題は押井自身の作品におけるフェティッシュの話へ。押井は「自分の作品ははっきり言ってフェティッシュの塊」と述べ、「アニメーションは理想を形にしているので、好みになっちゃうんですよ。絵描きって基本自分の理想な女の人しか描けない。だから私が描かせたい顔とアニメーターが描きたい顔は一致しないので結構揉める。(アニメーターと)最大に揉めたのは(攻殻機動隊の)草薙素子。(アニメーターが)こんな筋肉の塊みたいな女描きたくないよと」と裏話も飛び出した。

また、押井作品の定番要素と言っても過言ではない「おかっぱ頭」について、本書の女優の章ではあえて触れなかったことを聞かれた押井は、「麻紀さんがそれを言うのを忘れていたんですよ」と説明。家に帰ってしばらくすると渡辺から、「おかっぱのことを忘れていた!今から行くから喋ってください」とメールが来たそう。しかし押井は「喋り疲れたしもう嫌です」と断ったことを、またもやお茶目に振り返った。「一つくらい謎があってもいいじゃないですか」と押井らしくまとめ、「ちょっと喋りたかった部分もあったけど…それを喋り出したら本一冊分になってしまうので、それはまた機会があったら」と次作への意欲も見せた。

押井守
映画監督。1951年生まれ。東京都出身。東京学芸大学教育学部卒。1977年、竜の子プロダクション(現:タツノコプロ)に入社。スタジオぴえろ(現:ぴえろ)を経てフリーに。主な監督作品に『うる星やつら オンリー・ユー』(’83年)、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(’84年)、『天使のたまご』(’85年)、『機動警察パトレイバー the Movie』(’89年)、『機動警察パトレイバー2 the Movie』(’93年)。『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(’95年)はアメリカ「ビルボード」誌セル・ビデオ部門で売り上げ1位を記録。『イノセンス』(’04年)はカンヌ国際映画祭コンペティション部門に、『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』(’08年)はヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に出品された。近作に『THE NEXT GENERATION パトレイバー』シリーズ全7章(’14~’15年)、『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』(’15年)。最新作はカナダとの国際共同作品『ガルム・ウォーズ』(’16年)。

VRの中のVRの中のVRの中の… ── Oculusだからこそ実現したメタ構造アドベンチャー『Virtual Virtual Reality』

REVIEW

GAME

2018.08.31 FRI

AIの進歩が目まぐるしい。将棋AIが初めてプロ棋士に勝利したのは2013年。以降も進化を続け、2017年には将棋界の最高位とされる名人まで倒してしまった。AIが勝利するのは10年は先になるだろうと見られていた囲碁でも、トップ棋士に勝利している。最近では、より素早い処理を求められる『スタークラフト』などのコンピューターゲームの対人戦の、研究も進められているようだ。

一方、AIは我々にとってかなり身近になっている。iPhoneのSiriに明日の天気やグルメ情報を聞くことに慣れ、ルンバが部屋の状況に応じて効率的に掃除する姿を不思議と思わなくなった。

AIが凄まじい進化を遂げ、身近な存在になった結果、「AIが人間の仕事を奪う」と危機感をあおる記事や書籍も目にするようになった。たしかにこのまま進化が続けば、現在人間が行う仕事がAIに取って代わられる未来も、そう遠くないのかもしれない。

『Virtual Virtual Reality』は、労働のほとんどをAIがこなす世界で、数少ない人間の労働者として働くという設定のゲームだ。舞台は、人間が行うほうがよいと判断された仕事をAIが提供するシステム「Activitude」。人間労働者として登録されたプレイヤーが、顧客となるAIから指示を受け、作業を行うところから物語が始まる。

VRの中でVRヘッドセットを被る
メタ的で新感覚なゲーム体験

本作品で目を引くのは、VRの中でVRを体験するというメタな構造。例えば、プレイヤーに仕事の依頼が来ると、VRヘッドセットが渡される。それを被ることで仕事場に向かうことができるのだが、そもそもこのゲームをプレイするためにOculus Goを被ったのに、ゲーム内でもヘッドセットを被るというのは、不思議な感覚だ。

そして、ヘッドセットを被って向かった仕事場では、さらに別の場所へ移動できるヘッドセットが置かれていることも。ヘッドセットを被って移動を繰り返すたびに「ヴァーチャルの中のヴァーチャルの中のヴァーチャルの中の…」と重層構造が続き、現在地がどこなのかわからなくなってくる。

ゲームを一時中断し、Oculus Goを脱いだ後もまだヴァーチャルな世界にいるような感覚に陥る……というのは大げさだが、ゲームを中断しているのに、現実がゲームの中の世界と地続きになっているような、なんとも言えない感覚になることだろう。

AIとバーチャルリアリティが実現した理想郷とその裏側

本作でAIから依頼される仕事は、トーストにバターを塗る作業、花への水やりといったものから、西部劇を連想させる回転草を風で転がすといったヘンテコなものまで、さまざま。

そして、仕事場はピンクを基調としたキッチンだったり、たくさんの植物が植えられたのどかな庭園だったりとポップな印象だ。AIに仕事を奪われた世界をディストピアのように思う人も少なくないが、ゲーム内では「AIに指示されながら、のんびり仕事をこなす世界も悪くないかも」と思わせるユートピアな世界が広がっている。(しかし、作業後には正確性を欠くことをAIから酷評されるため、その思いはすぐに失われるのだが……)

さらに、浜辺でただただ夕焼けや日没を眺める作業を依頼され、「仕事とは一体なんだろう?」と考えさせられる場面も。仕事に疲れた現代人への皮肉なのだろうか……。

ここまでであれば、職業体験が楽しめるVRゲーム『Job Simulator』を思い起こすかもしれないが、本作はそれとは一線を画す。というのも、ひと通りの仕事を体験した後、人間労働ユニオンなる存在から、あるアイテムを渡されるのだ。

このアイテムは、家具や看板などのActivitude内のさまざまなオブジェクトを吸い込むことができるほか、オブジェクトの復元も可能。そして、仕事場の壁を吸い込んだ際には、ダークな雰囲気のActivitudeの裏側に行くこともできるのだ。

ここからは単なる職業体験ゲームではなく、Activitudeの中枢部へ行き、彼らの目的を探ることが目標となる。もちろん、これまでプレイヤーに仕事を提供していたActivitudeのAIたちも黙っていない。プレイヤーを元の人間労働者に戻そうと躍起になって追ってくるのだ。

彼らの目をかいくぐり、真相を見つけられるかはプレイヤー次第。1000円未満で甲奴湯できるコンテンツとは思えないストーリーと世界観に驚かされること間違いなしだろう。

文:杉山大祐/ノオト

Virtual Virtual Reality
https://www.oculus.com/experiences/go/1389161184521528/

伝わる恐怖!スカンジナビアの民間伝承から触発アドベンチャーホラー『Vaesen』がもたらす新たな体験

NEWS

GAME

2018.09.26 WED

スウェーデンのDimfrost Studioが開発中のタイトル『Vaesen』は、スウェーデンの森を探索する小さな妖精が主人公の、アドベンチャーゲーム。このゲームでは、そこにプラスしてスカンジナビアの民間伝承から触発されたホラー要素が加わっている。

小さな妖精にとって、森には多くの危険が潜んでいる。波や蛇なども、小さな体には大きな弊害となるのだが、それだけではなく海には怪物が潜んでいるのだ。民間伝承に登場する恐ろしい生き物をゲームへと落とし込んでいる。

このゲームは、北欧の民俗物語に精通している人にとっては記憶の片隅を揺さぶられるようなどこか懐かしさを感じる体験に、他の人にとっては興味深い新たな体験となる。

時折現れる、恐ろしい生物(ボス)を小さな体で倒しながら生き延びていくこのゲームは、わずか3人という少人数で作られているようだ。

発売時期はまだ決まっていないようだが、PCといくつかのコンソール機向けに2019年のリリースを目指している。新たな続報が公開されたらまた紹介したいと思う。

Dimfrost Studio
http://dimfroststudio.com/vaesen/

Twitter
https://twitter.com/dimfroststudio?lang=sv