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2018年、もっと夢中にするメディア「マグ」誕生

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レンズの奥にある宇宙戦争 ── ゲーセン時代の少年たちが夢中になった『スーパーギャラクシアン』

COLUMN

GAME

2018.08.03 FRI

ゲームがデータとして供給されるようになった現代から、遡ることおよそ40年の昔。当時、ゲームとはソフトでありハードであり、単一の“モノ”を指していた。
『電子ゲーム』。この80年代を代表するアイコンを単なる懐古趣味ではなく、ゲームが形を持たなくなった時代の崇敬すべきフェティッシュとして、見直していくのが本連載の趣旨である。

1978年、空前のブームとなったゲーム『スペースインベーダー』(タイトー)。その熱狂がひと息ついた翌年にも次なる人気タイトル『ギャラクシアン』(ナムコ)が登場するなど、ゲームセンターは変わらぬ活況を呈していた。

時を同じくする1980年前後は、電子ゲームが子供達の間で大ブームを巻き起こしていた時代。ここで紹介する『スーパーギャラクシアン』はそんなさなかの1981年に誕生した電子ゲームである。

デジコムシリーズ『スーパーギャラクシアン』(エポック 1981年 8800円)

「当時のゲームセンターはインベーダーブームから続く人気のスポットでした。でも、不良の溜まり場になるなどで子供に禁止令を出した学校、家庭が多かったんですね。そんなこともあって、家庭用ゲームの需要が高まったのです。そんな中で、当時の人気アーケードゲーム『ギャラクシアン』を高いレベルで再現したこのゲームは当然のごとく大人気となりました。

前面の宇宙をイメージした丸いスクリーンは、実際は小さなものでしかない蛍光表示管の画面を大きくみせる拡大レンズの役割も果たしています。こうした仕様はこの後の蛍光表示管式ゲームのある種の型、お手本となりました」

このように語るのは電子ゲームに詳しく、任天堂研究家・コレクターとしても知られる山崎功氏である。

その再現性の高さはキャラクターの描写だけにとどまらず、操作系統にまで及ぶ。まさに蛍光表示管式の傑作機ともいえる存在であったのだ。

ブラウン管モニターに迫った描写力。蛍光管表示式電子ゲームの傑作機

ところで、先ほどのコメントにもあった「蛍光表示管」なる言葉だが、液晶やLEDに比べていまいち耳慣れないものになるだろう。FLディスプレイとも呼ばれるこの蛍光表示管は、DVDデッキの表示部、あるいはデジタル表示のスピードメーターに使われている。暗い中で淡く緑に輝く様子を思い起こしてもらうのが手っ取り早いかもしれない。

液晶と異なりそのものが発光しており、コントラストが高く視認性が良いのが特徴。また、基本的に単色での発光であったが淡い緑の発色ができたため、その上にカラーセロハンを重ねることで擬似的なカラー表示も可能であったのだ。当時、家庭用の電子ゲームのモニターとして、アーケードゲームで使われたブラウン管モニターに迫る描画力を持つのは蛍光表示管以外ありえなかったのである。

ゲーム内容は若干の変更点が加えられているものの、基本的に本家の『ギャラクシアン』を踏襲。『インベーダー』よりも複雑な動きで降下してくる敵を迎え撃つことになる。また本家『ギャラクシアン』にはない、ボーナスステージ「スペースシャトルドッキング」の存在も魅力だ。

自機のヘッド部分が分離上昇した後に降下してくるのだが、その際に本体は左右に自動的に動いている。プレイヤーは逆噴射を使って、ヘッド部分の降下速度を調整しタイミングよく本体とドッキングさせる必要がある。

シューティングパートと異なり、非常に地味なゲームではある。しかし、ボーナスステージの存在が、打ちまくりの快感にとどまらない魅力をもたらしているのだ。なお、同時期である1981年に実際に打ち上げられたスペースシャトルの話題が、このゲームにプラスの作用をもたらしたことに間違いがないだろう。

携帯性は無い。夢と憧れをいっぱいに詰めた筐体

『ギャラクシアン』を再現したゲームである以上、キャラクターの動きについても触れておかねばならない。特筆すべきは8の字を描くように下降、上昇を繰り返すスピンエイリアンの動きである。

現在は点の集合体でキャラを描写するドット表示があたりまえ、キャラは滑らかに動いてあたりまえだが、こちらは画面にあらかじめ用意された数種パターンのキャラクターを光らせるか、光らせないかしかできない。このような制約がありながら、ギクシャクとした違和感を一切感じさせない滑らかな動きを再現しており、現代的なゲームに慣れた目から見ても素直に驚かされる。

「バラエティ豊かな日本のLSIゲームは海外にも輸出されていました。この『スペースギャラクシアン』も海外で『ASTRO WARS』の名前で販売されていたんです。蛍光表示管なのでクリアな画面ではありましたが、代わりに電池の消耗が激しくACアダプターが必須でしたね」(山崎氏)

実はこの『スーパーギャラクシアン』は電池駆動こそ可能なものの、大きさ形状からして携帯性は皆無。蛍光表示管を画面に使用するだけで小型化には限りがあり、加えて多く使用せざるを得ない電池を入れるスペースの確保も必要になり、自然と大きな筐体にならざるを得なかったのだ。

しかし、この筐体はその難点を補って余りある長所を持っている。操作部と画面に角度がついているアップライト型筐体は見やすく、操作がしやすい。そして玩具らしからぬ印象でどこか無機質、オーディオ機器のスイッチにも似たコントローラーはまたアーケードゲームのコンソールにも似て気分を高めてくれる。

また構造上、プレイは暗い箱の奥にある蛍光表示管画面を拡大レンズにもなっている円形の前部スクリーンから覗いて行うスタイルとなる。それはまるで、宇宙船の窓から暗い宇宙空間を覗き込むようで…これがまた、ゲームに没入する環境作りに一役買っているわけだ。

なお巷の評価ではあまり耳にしないが、このゲームを語る上で“音の良さ”については忘れずに触れておきたいと思う。スピーカーコーンから出た音が文字通り“箱型”の筐体内部で反響し、独特の響きを伴ってアウトプットされる。
果たして、これが音響的に良い音であるのかは知らない。ただ、箱全体が鳴っているような響きがなんともよい味になり、しつこいようだが「ゲームセンター感」を増している。実際、当時の子供達は禁断のアーケードゲームがほぼそのまま遊べることに驚喜したのであった。

決してスマートではない、銀色の箱。その中に詰まっていたのは、ゲームセンターへの憧れ、いや宇宙への憧れか。いずれ、自分がまだ旅立つことのできない禁断の地への夢が詰まっている。

文:のび@びた
撮影:さとうひろき

[監修]
山崎 功(やまざき いさお)

任天堂研究家・コレクター、電子ゲーム・レトロゲーム好き。「懐かしの電子ゲーム大博覧会」「任天堂コンプリートガイド」など多数の著書あり。
https://twitter.com/yamazaki_isao
http://happy-today.org/nintendo/

レイヤー表現が開拓するドットの新たな可能性 ── インディーゲーム『The Last Night』圧倒的ビジュアル

COLUMN

GAME

2018.08.10 FRI

煌びやかなネオンが光り輝き、水面に映る滑らかな景色と繊細なドットが入り混じるトレーラーを見て、胸を掴まれないものはいないだろう。

『The Last Night』は、Odd Talesが開発を手がけるサイバーパンクアドベンチャーゲーム。本作の舞台は、コンピュータや機械が人間に代わり、あらゆる単純作業を行なう世界だ。生まれてまもない乳児の脳内にチップを埋め込むことにより、その人生を完全にコントロールしている。

プレイヤーが操作するのは「二級市民」として扱われている主人公のチャーリー。彼は幼少期の事故により、チップを埋め込むことができなかった。主人公として、街の探索をしながら他の市民と会話をすることや、銃撃戦への参加が可能だ。

E3 2017の開幕直前に行われた「Xbox E3 2017 Briefing」で初めて公開されたこのトレーラーは、ビジュアルの美しさから海外メディアより絶賛を受けた。

全ての始まりはたった6日間で開発されたゲーム

ゲームクリエイターが集まり、サイバーパンクをテーマに短時間でゲーム制作を行う「Cyber Punk Game Jam」。2014年に開催されたこのイベントで、フランスのTim Soret氏が6日間で開発し、優勝を勝ち取ったFlashゲーム『The Last Night』は、ブレードランナーやFlashback (1991)、Another World (1997)、Oddworld: Abe’s Oddysee (1997)など、多くのゲームからインスピレーションを受けた。

シンプルなゲームだが、サイバーパンクの世界観をうまく捉えたビジュアルは高く評価され、彼の制作した『The Last Night』は総計256本ものゲームの頂点に輝いたのだ。

その後、彼は新スタジオOdd Talesを設立し、製品版『The Last Night』の本格的な制作に取り掛かった。2012年にカルティエのアートディレクターとして、香港で働いていたSoret氏。その経験と、目に焼き付いた香港の街並みが、制作に大きな影響を与えている。

また、映画『ブレードランナー』や押井守監督によるアニメ『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』などが、ビジュアルを確立する上での基盤となっているそうだ。

さらなる進化を遂げる製品版の圧巻のビジュアル

Unity 5.6のエンジンを使用し、背景のほとんどがドット絵で描かれている『The Last Night』だが、驚くべきところは、大部分が手描きで作られているところだ。

さらに、映像を見た際に3Dのように見えたビジュアルは、実際は2D。シーン内に、何層にもわたって板ポリゴンに貼られたドット絵を配置することで、カメラが動いた時に立体的に見えるよう設計されている。そこに、エフェクトやライティングが足されることで、よりビジュアルに自然な遠近を感じさせているのだ。

少人数で進められている制作メンバーに、新たに22歳という若きピクセルアーティスト、Brendan Sullivan氏が加わった。彼によって描かれた空飛ぶ車が公開されているのだが、『The Last Night』のビジュアルが、より強化されたことは間違い無いだろう。

視覚だけではなく、聴覚からも伝わる世界観

そして、もう一つ注目すべき点がある。トレーラーで使用されている音楽だ。エレクトロニックアーティストLornの”Acid Rain”を、サウンドデザインなども担当しているJoe Kataldo氏が、効果音も含め5.1チャンネルでミックスしている。

目から入り込む情報のみならず、耳からも世界観を演出しているのだ。重低音と電子音、そしてLornの独特の歌声がサイバーパンクの舞台にしっかりと寄り添う。

2018年内の発売が予定されているが、ゲームの全貌がほとんど明らかではない本作。だが、この素晴らしいトレーラーを見てしまったら、期待せずにはいられない。

Odd Tales
http://oddtales.net/

文:谷津有香

放たれる弓から響き渡る音『ツルネ―風舞高校弓道部―』青春がこだまする

NEWS

ANIME

2018.08.15 WED

2018年10月よりNHKにて放送が開始となる『ツルネ―風舞高校弓道部―』。本作の第2弾PVが公開された。

「ツルネ ―風舞高校弓道部―」は弓道部を舞台に、弓引きにとって重大な病を抱えている鳴宮湊が、弓道を通して仲間との絆を深めていく青春ストーリー。綾野ことこの同名小説を原作とした作品だ。

人を魅了する弦音(ツルネ)を想像させるPV

アニメーション自体は、京都アニメーションが制作することもあり自然と期待が膨らんでいたのだが、公開されたPVで最も際立つのは音の豊かさ。

弓を引いた際にしなる音が、静寂の中響き渡っている。PVではここで止まってしまうのだが、この先の、弦音や矢が的に当たる音も自然と想像してしまう。

タイトルの『ツルネ』というのは、弓矢が発射する瞬間に、放たれる弦から出る音のこと。上手く引けると弓から矢が発射される瞬間に綺麗な弦音(ツルネ)が鳴り、弓道場にこだまする。

コミックマーケット94にて展示された原画

先日行われたコミックマーケット94にて、アニメ本編で実際に使用されている生原画が展示された。目の処理の仕方や、衣装などの細かな設定がメモ書きされた原画が多くの来場者の目に触れていた。

ツルネ―風舞高校弓道部―
http://tsurune.com/

@綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会