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アニメをたった1%で面白くする“デザイン” ── 有馬トモユキ インタビューVol.02

INTERVIEW

ANIME

2018.07.27 FRI

アニメーションのデザインには、どのようなものがあるのかを知ることができた『有馬トモユキ インタビューVol.01 』に引き続き、多彩な広がりを見せるアニメーションのデザインを紹介したい。

グラフィックデザイナーとして活動しながら、多くのアニメーション制作に携わる有馬トモユキ氏の頭の中では常に、これからのアニメに置けるデザインの役割が見据えられていた。

カウボーイビバップ・攻殻機動隊・AKIRA…
昔からあるかっこいいアニメのインパクト

AKIRAは文化的インパクトが強すぎて未だに渋谷のパルコに起用されている。アニメーションを手伝っていると時々、忸怩たる思いにかられるんです。1988年のアニメに『一生勝てないから』と言われないようにどうにかしたいと。もちろん大友克洋さんは本当に凄いのだけど、それとは違った今なりのやり方、2018年だからできることって何かなと常に考えるんです。」

緻密な描写で、近未来の独創的な世界観を描き、国内外で高い評価を受ける「AKIRA」の劇場アニメーションは、原作者である大友克洋氏が監督を務めた作品だ。

「一般的なアニメーションでは、夜の空間色を表現する際、複数人で作業する時の色のコントロールを配慮し、4色から8色しか使わないんです。でも、『AKIRA』では56色使っている。こういった、当時も今も誰も真似できない細かさが効いているんです。」

こう話す有馬氏は、デザイナーである自身ができるアニメーションの作り方を、常に模索している。

「大友克洋さんは、アニメーターの絵を一つ一つ直すという、監督としては無茶苦茶なことをしているんだけど、だからこそ必要な完成度になっているんです。ただ、それだけだと凄く大変な思いをしなければいいものは作れないということを、一つの事実として、劇中の少しの部分を捻ることで、凄いインパクトのあるフィルムを作れないかと常に思っています。そのエッセンスを最終的にWEBサイトやパッケージデザインにまで落とし込むまでできたら、一貫した体験になると思う。」

「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」が派生させるデザイン

VRゲームの世界を舞台に描いた大人気シリーズ「ソードアート・オンライン」のスピンオフ作品「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」(以下、「GGO」)。

本作では、WEBサイトとパッケージのデザインを担当した有馬氏。そこには、広がりを意識したデザイン設計がなされていた。

「気をつけたのが、ロゴがめちゃくちゃ真似しやすいということ。すごいアンビバレンスですよね。六角形を少し崩したものをロゴに使い、配色や文字に、出にくい方のサーモンピンクと青を使ってあげることで、雑誌で取り上げられた時に自然発生的に同じようになるんです。」

店頭ポップなどは、有馬氏によるデザインではないそうなのだが、“ロゴ”と“色”と“キャラクター”を使えば本家のデザインに近くなるように考えられ、デザインされていた。海外展開され、スピンオフ作品でもある「GGO」だからこそ、こういったデザインの考え方に行き着いたそうだ。

「僕ら1チームで制御できる範囲を超えているので、いかに2次3次の作業をしてくれる方や、そのコンテンツを預かって宣伝したいといってくれる方に、どういったシズルを踏襲すればその作品っぽくなるかとアイデンティティーのコアをどこに置くかを考えました。」

©2017 時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/GGO Project

実際にこのシズルは様々な宣伝物や雑誌に取り入れられ、デザインによる自然な派生の効果を確認することができる。イメージとして残りやすいこのカラーは、アニメ自体のイメージとして深く根を張った。

このデザインの派生の考え方について、LINEを例に挙げ、分かりやすく説明してくれた。

「LINEをイメージすると、アイデンティティーとして『ティコンっ』と鳴る音や、あの緑色を浮かべると思うんです。そういったいくつかの要素があれば、自然とLINEをイメージさせることができる。」

この想像心理から生まれたデザインは、「GGO」全体の統一を促すものとなった。

「映画ドラえもん のび太の宝島」
アニメーションの“デザイン”の可能性を見据えたこだわり

また、「映画ドラえもん のび太の宝島」では、主人公であるのび太が海賊船に乗って宝探しに行きたいというところから物語が始まるのだが、その海賊船のインターフェイスを有馬氏がデザインした。

「映像では、数秒しか画面に流れないデザインでも、DVDとして発売された時に、視聴者はどの場面でも切り取ることができ、どのフレームも読み解きの材料となるんです。」

たった数秒しか映像としては流れないポイントでも、常にデザインにはこだわりが注入されていた。

「このインターフェイスのデザインは、6歳7歳の子供でもわかるようなシズルと、その親御さんが見ても意味が通じるもの、あとで自分の子供に説明できるようなものになるように考えました。もちろん意味が通じすぎてもダメなので、肝心なところはマスクしてあるんです。」

“未来書体”という文字を設計し、ビジュアルに落とし込むことにより、伝わる領域を制御しているそうだ。

「2018年だからできることってなんだろうと考えた時に、今の子供はグラフィックのソフトウェアくらい使うであろうと思い、真似しようと思えば真似できるようGoogle Fontsを使いました。自分も15、6歳の頃からソフトウェアを使用しているので、ドラえもんを見た子供たちが真似したいなと思えるようにデザインになればいいなと。」

©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2018

「彼ら、彼女らが真似したくなるようなシズルを、実は真似できるように設計しているのが隠れコンセプトなんです。そういった世界があるということを知ってもらえるように。」

このインターフェイスは、ドラえもんの視聴者層の広さ同様、子供が見ても理解でき、大人が見ても意味が通じるようにデザインされていた。ドラえもんを見た子供が試してみたいと思えるようなデザイン設計は、デザインに憧れを抱く子供達の“未来の可能性”を見据えた表現なのだ。

アニメーションデザインのさらなる挑戦

「アニメーションのデザインは、まさに“作る”という感じです。与えられるものは少ない情報なのですが、妄想を爆発させ、自分たちの持っている知識を入れながらデザインへと落とし込んでいます」

監督の考えを越す表現をして、アニメーションを補強できるよう意識している有馬氏は、今後取り組みたいデザインの表現方法として“世界観の設計”をあげている。

「ブレードランナーの空飛ぶ車や街並みによって世界観設計をしたシド・ミードの仕事を通して、私たちはSFの醍醐味『極端な状況に陥った生命や生き方がどんな振る舞いを見せるのか』を発見した。そういった世界観設計を表現するために、部屋の設計や環境を考えてみたい」

アニメーションという文化圏で、様々な“デザイン”によるアプローチを試みる有馬氏。1つ1つの作品によって全く違った広がりを見せる、アニメーションのデザインの奥深さを知った。

有馬トモユキ
https://twitter.com/tatsdesign

「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」Blu-ray&DVD発売情報

撮影:今井駿介
取材・文:谷津有香

もっと光を! アイデアと“夢のエネルギー”で画面の牢獄から抜け出した電子ゲーム『大脱走』

REVIEW

GAME

2018.11.16 FRI

ゲームがデータとして供給されるようになった現代から、遡ることおよそ40年の昔。当時、ゲームとはソフトでありハードであり、単一の“モノ”を指していた。

『電子ゲーム』。この80年代を代表するアイコンを単なる懐古趣味ではなく、ゲームが形を持たなくなった時代の崇敬すべきフェティッシュとして見直していくのが本連載の趣旨である。

日本の子供たちがこれまでになかった新しいおもちゃ、電子ゲームに熱狂していた1980年前後。しかし、視野を広げてみればこの時期は1978年のイラン革命を発端にした原油価格の上昇と供給危機、いわゆる第2次オイルショックの時期と重なる。そうして1980年にはNEDO(新エネルギー総合開発機構)が創設され、太陽光エネルギーに注目が集まっていた……。

そんなエネルギー情勢の中で1982年に登場したのが、バンダイのLCDソーラーパワーシリーズの電子ゲーム『大脱走』である。

『大脱走』(バンダイ/5400円 1982年)

「電子ゲームにソーラーパネルを使用したのは、バンダイのLCDソーラーパワーシリーズが初めてだと思います。電池が無用である代わりに強い光を当てていないと遊べず、つまり部屋の中でゴロゴロ寝転がりがら遊ぶことができないというデメリットもありました。しかし、光に当てれば電気が生まれ、ゲームが出来るという科学実験を思わせる仕組みは、当時の子供達の心を捉えたものです。また、同シリーズはソーラーパワーだけでなく、2画面構成になっていることも特徴。なかでもこの『大脱走』は場面転換が秀逸で、私が特に気に入っている電子ゲームの一つです」

そう語るのは、電子ゲームに詳しく、任天堂研究家・コレクターとしても知られる山崎功氏である。

蛍光管表示(FL)式ゲームは電池の消耗が激しく、ACアダプタまで買ってもらえなかった子供達を泣かせた。他方、電池の持ちはよかった液晶式でもボタン電池は高価であり、電池代はやはりバカにできなかった。100円均一がまだ登場していない当時、子供にとって(大人にとっても)電池は消耗品にしてはなかなかの値段がするものであったのだ。

また、視点をエネルギー情勢に戻せば“未来のエネルギー”ともてはやされた原子力発電が、1979年のスリーマイル島原子力発電所事故により大きくその存在が揺らいでいた、そんな時代の話である。「太陽にさえ当てればゲームができる」。この“夢のエネルギー”のわかりやすい実用化に、子供達の興味が注がれたことは想像に難くない。

なお、このゲームは「ソーラーパワー」を謳ってはいるが、室内灯でも条件を満たせば遊ぶことはできた。しかし、発電量の少なさ故、入力の度に画面表示が薄くなり、音も心もとないものになるなどのトラブルはつきもの。快適に遊ぶためにはやはり太陽光のあたる外で遊びたい。そこで携帯性を高め、また最も弱い部分である画面とソーラパネルの保護を目的にしたのだろう。本体は、2つに折りたためるようになっている。小さく折りたたんだものを展開すると、すごい能力を発揮する。このスパイのひみつ道具めいたギミックもまた子供たちにとっての魅力となっていた。

全く異なるゲーム性を持つ驚きの2パターン構成

さて、そのゲーム内容はというと、プレイヤーは囚人であり、看守の目をかいくぐって刑務所から脱走するというもの。通常、主人公は宇宙人や怪物と戦う善なるヒーローか、すくなくともハプニングに見舞われた無辜の存在であるがこのゲームでは自分が善人であるかどうかは疑わしい。同様のモチーフを持ったゲームは他にもあるが、いずれ、ピカレスク(悪漢)ロマンといった言葉もまだ知らない子供たちにとって、他のゲームにはない世界を感じさせるものであった。

ゲームはパターン1・牢の中ステージから始まる。プレイヤーは時折ドアを開けて様子を見にくる看守の目をかいくぐり、隠し持っていたノコギリで計3本ある鉄格子を順に切って外に脱出しなくてはならない。鉄格子は主人公が接触した状態で10回左ボタンを押すと切れるが、看守がドアをあけて中を見たときにはベットの位置につき、壁に貼ってある水着のポスターを見ているフリをしなければ1ミス、鉄格子は強制的に3本に戻る。

このゲームの世界では、脱獄の計画、すなわち鉄格子を意識している様子を見咎められないことが重要なはずであり、であれば主人公がベッドで寝たふりをする描画があれば十分なことになる。なのに、あえて「水着のポスター」を登場させる(子供向けゲームとしては)“ダーティー”な演出に、思わずニヤリとさせられる。

そんなこんなで、計3本の鉄格子を無事、切り落とせば次のパターンに進むことになる。

鉄格子を破った窓を抜けるとそこは第2のパターン・刑務所の壁の外だ。無数の警察犬が襲ってくる上に警官が壁の上から身を乗り出して銃を撃ちまくってくる。(警察犬、警官は説明書の表記通り。「看守では?」などの疑問はさておこう)

看守が見ているあいだは大人しくし、隙を見ては連打で鉄格子を切る。この「静と動」で成り立っていたパターン1とは違い、ひたすら「動」が要求されるのが、パターン2の特徴となっている。そうして画面左に時折やってくる仲間のトラックに乗ればまんまと脱出成功、500点のボーナスが入りまたパターン1に戻る……という流れである。

The Great Escape。単一画面ゲームからの、大いなる脱走

このように、『大脱走』は刑務所の内と外を舞台に展開するアクションゲームであるが、現在の携帯ハード機のように、画面はドットで構成されているわけではないのでその描画は不自由なもの。白(というか透明)黒の液晶画面のなかであらかじめいくつか用意したキャラの動きを描写する単純なパターンを点滅させるしかない。

そんな制約のなか、牢のステージのキャラクターと背景の一部を表示するための液晶画面、刑務所外のキャラクターと背景の一部を表示させるための液晶画面。この2枚の透明な液晶のパネルを重ねることで、1画面でありながら、バラエティに富んだキャラの動き、ゲーム性をもたらすことが可能になっている。

さらに、画面の再奥にプリントによって描かれた背景の使い方、そのアイデアの秀逸さにも注目しておきたい。牢獄のシーンではポスターが貼られた部屋の右壁の役割を果たしていた部分が、外のシーンでは脱走の際に使ったのであろうロープが上から垂れ下がった外壁として使われている。また、牢の鉄格子を支えていた左壁の上端は、下部に植え込みを配置することで今度は刑務所の壁の外を走る道路のカーブを描き出しているのだ。

変えることのできない絵でしかない背景が、液晶画面で描画を重ねて早変わりの舞台装置の役目を見事に果たす。当時のハイテクから、アイデア勝負のローテクまで。双方が詰まったモノとしての魅力に溢れる存在であることがお判りいただけただろうか。

電池の消耗を気にせざるを得ず、ステージ構成は1パターンのみで複雑な演出、場面転換ができない。そんな当時の電子ゲームの限界、いや、牢獄からまさに大脱走を果たしたのがこのゲーム『大脱走』なのである。

文:のび@びた
撮影:さとうひろき

<監修>
山崎 功(やまざき いさお)
任天堂研究家・コレクター、電子ゲーム・レトロゲーム好き。「懐かしの電子ゲーム大博覧会」「任天堂コンプリートガイド」など多数の著書あり。
https://twitter.com/yamazaki_isao
http://happy-today.org/nintendo/

“宇宙最速のあのヒーロー”ついにハリウッド実写映画化 『ソニック・ザ・ムービー』 青い光のシルエット

NEWS

GAME

2018.12.12 WED

1991年に記念すべきゲーム1作目が株式会社セガ・エンタープライゼスから発売され、目にも止まらぬスピードでゲームステージを駆け抜ける革新的なゲーム性と、音速で走る青いハリネズミ ソニックのクールなキャラクターが日本を始め、世界のゲームファンの心をつかみ、愛され続ける「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」シリーズ。

全世界でシリーズ延べ約8億人(ダウンロードも含む)が熱狂した日本発の大人気キャラクターがハリウッド実写映画化。その邦題が『ソニック・ザ・ムービー』(原題:Sonic The Hedgehog)に決定した。

『ソニック・ザ・ムービー』2019年11月に全米公開予定。日本公開時期は近日発表

本作は、宇宙最速で走るパワーを授かった青いハリネズミのソニックが、警官のトムとバディを組み、宿敵マッドサイエンティスト ドクター・エッグマンの恐るべき陰謀に立ち向かうべく、世界を股に繰り広げるアクション満載の冒険エンターテイメント。

ソニックとバディを組むことになる警官役には、『X-MEN』 シリーズのサイクロプス役で一躍有名スター入りを果たしたジェームズ・マースデン。そして、毎回ゲームでソニックを追い詰める狂気のマッドサイエンティスト ドクター・エッグマンには、『マスク』(94)などのエキセントリックなキャラクター演技が映画ファンの記憶に残るジム・キャリーが決定。一度見ると忘れないエッグマンの風貌を、どう再現するのか期待が高まる。

『ワイルド・スピード』シリーズのニール・H・モリッツと、『デッドプール』のティム・ミラーがプロデュースし、監督には2004 年に「Gopher Broke(原題)」がアカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされたジェフ・フォウラーが、長編、そして実写初監督に大抜擢。才能溢れるキャスト・スタッフが揃い、世界的人気ゲームキャラクターにどのように命を吹き込むのか、映像の完成が待たれる。

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