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“デザイン” でアニメーションの世界を創造する ── 有馬トモユキ インタビューVol.01

INTERVIEW

ANIME

2018.07.20 FRI

アニメーション作品には、キャラクターデザイン・背景デザインなどを代表に、想像の世界を定義付ける様々なデザイン要素が存在するが、今までそれらの仕事はアニメーション制作者の領域だった。

しかし、近年ではこのような従来の体制ではなく、デザインの領域に軸足を起きながらアニメーション制作に関わるデザイナーが生まれてきている。グラフィックデザイナーとして向き合う『アニメーションのデザイン』とは一体どのようなものなのだろうか。

グラフィックデザイナーとして活動しながら、多くのアニメーション制作に携わる有馬トモユキ氏に話を伺った。

そもそもアニメーションのデザインって何?
一貫性を突き詰めた「アルドノア・ゼロ」

もともとデジタルコンテンツの世界にいた有馬氏だが、後にグラフィック・パッケージ等も含め、メディアを横断した様々なグラフィック表現を手がけるようになる。そして、やがてたどり着いたのがアニメーションだ。

アニメーション制作の中で、有馬氏が担当するデザインとはどのようなものがあるのかを、2014年に放送されたロボットアニメ「アルドノア・ゼロ」を例に、詳しく説明してくれた。この作品は、有馬氏が友人のディレクターとテクニカルスタッフと共に一通りのアニメーションに関するデザインを担当した作品だ。

「タイトルロゴ、webサイト、本編に登場する企業のロゴ、公式グッズ、宣伝用のポスター。全てのデザインを一つのチームが一緒にやったらどうなるのかな?というのはずっと想像していたんです。」

「同じ人がやったほうが絶対に良いけど、やれないのはなんでだろうと。そういった、一貫した体験を作るために、タイトルロゴを作り、それを使って宣伝し、それを使ってオープニングタイトルを作り、パッケージのデザインをし、全てのデザインの入稿をし1年半ずっとやっていました。やる必要があるなくらいには思っていたし、誰かが制御したほうが絶対に良いものになる。」

通常、webサイトやプロモーション、パッケージデザインを1人(1つのチーム)が一貫して請け負うことはほとんどない。途方もなく膨大な量のデザインになるからだ。だが、「アルドノア・ゼロ」では、その膨大な量を合計4人のスタッフで製作し、デザインはほぼ有馬氏によるものだという。

制作物を相対スケールに置き換えた図

「アルドノア・ゼロ」=「A/Z」
タイトルに略号を用いた訳

「一緒にやった瀬島くんというプランナーが考えたことなんですが、“アルドノア・ゼロ”というタイトルは長いけど、Twitterは140文字しかないから、略されてるといいよね。みんなが略されたタイトルを使ってくれたら良いねと。」

「アルドノア・ゼロ」は、「A/Z」という略号で表現される事がある。この略号は自然発生したものではなく、意図的にデザインされたものだ。

「グラフィックデザインが中心の会社にいると、かっこいいロゴデザインを沢山見るのと同時に、自分はそういうことをするべきなのかと考える時がある。今っぽいアイデンティティーの伝わり方を考えた時にこのデザインになったんです。」

作品の内容自体が印象に残るように設計されたタイトルデザイン。1行版、2行版、略号と、様々なバリエーションが展開された。

たった2日間のイベント用に作られた高クオリティーコックピット

そして、有馬氏のデザインは、グラフィックに留まらず作品にまつわるすべてのモノ・コトに反映されてくことになる。

様々なアニメ作品がブースを出展し、4日間で15万人以上のアニメファンが来場する日本最大級の総合アニメイベント「Anime Japan」。そのイベントで、「アルドノア・ゼロ」の世界にさらに入り込めるアイデアを形にしていた。

「ロボットものなのでコックピットを作ったんです。ガンプラ大好きっ子としてはやりますよね。デカールや書体をとてもたくさん入れて、それに対して全て意味を通して。」

「劇中の設定と全く矛盾が起きない状態で、どういう文字やインタラクションを入れたら良いのだろうと、かなり気を使って考えながら作りました。」

体験型コンテンツとして開発され、多くの参加者が楽しんだこのコックピットだが、あまりのクオリティーの高さに、イベント初日には多くの参加者が実際に座っていいのか躊躇する程だった。

作品とファンとを繋ぐ、一貫したデザイン

更に、「アルドノア・ゼロ」では様々な媒体に小さなこだわりが散りばめられている。

例えば、作品を宣伝するチラシには本編には登場しないキャラクターが登場する。第1話に登場する少女の父親が、チラシにだけ登場するキャラクターとして描かれているのだ。このような小さなこだわりが、ファンに更に作品の世界を読み解く手がかりを与えている。

「深掘りするファンは、オープニングのロゴが画面のどこに入っているかすら意味があるんだろうと読んでくれます。そして、一貫してやれると、間違いが起きず、ビジュアルの制御ができるので、その期待に応えることができるんです。」

このような取り組みによって、デザインが作品にプラスαの価値を生み出すのと共に、その一貫性の高さはどこをとっても矛盾の起きない密度の高いイメージとして完成する。

こうした一貫したデザインに取り組んだ「アルドノア・ゼロ」だが、そもそもが膨大な制作量である事に加えて、ポスター1つをとっても、60案ものデザインが考えられている事に驚愕する。しかし、有馬氏を支えるものも、また、細やかな演出に答えてくれるファンとの繋がりである。

「アニメーション分野の良いところは、常にフィードバックをもらえること。Twitterだったり、読み解きをしているブログだったり。ガッツポーズが出るときだけでなく、時にはお叱りを受けるときもあるんですが、そういった全ての人たちに支えられています。」

アニメーションの世界を身近に創造する、細かな「アニメーションのデザイン」

「日本人は、古くから“見立て”を楽しむ文化の中で生活しています。能面では、お面を被ればたちどころに性別を変えて立ち上がり、そこに感情移入が生まれる。アニメーションでも、声優が個別にいてキャラクターとして演技をするが、キャラクター側に感情移入をする。そうやって、アニメーションの設定定義をすんなりと受け入れその世界へと入り込み、素直に感動することができるんです。」

アニメーションについて話を聞く中で、有馬氏から出たのは “見立て” というキーワードだった。まさに、この “見立て” こそが、アニメーションの醍醐味でもあり、その分野が大きく発展を遂げている日本を象徴としているのではないだろうか。

世界観に入り込むことを得意とするため、アニメーションを見るだけでは飽き足らず、細かなポイントを奥深くまで掘り下げることを一つの楽しみとする私たち。その上で日本のアニメーションに重要なのは、細部にいき届いたデザインと設定だ。

次回、『有馬トモユキ インタビューVol.2』ではアニメーションに関するデザインの多岐にわたる活躍を、「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」「映画ドラえもん のび太の宝島」という2つのタイトルから紐解いていきたい。

有馬トモユキ
https://twitter.com/tatsdesign

撮影:今井駿介
取材・文:谷津有香

©Olympus Knights / Aniplex•Project AZ

レイヤー表現が開拓するドットの新たな可能性 ── インディーゲーム『The Last Night』圧倒的ビジュアル

COLUMN

GAME

2018.08.10 FRI

煌びやかなネオンが光り輝き、水面に映る滑らかな景色と繊細なドットが入り混じるトレーラーを見て、胸を掴まれないものはいないだろう。

『The Last Night』は、Odd Talesが開発を手がけるサイバーパンクアドベンチャーゲーム。本作の舞台は、コンピュータや機械が人間に代わり、あらゆる単純作業を行なう世界だ。生まれてまもない乳児の脳内にチップを埋め込むことにより、その人生を完全にコントロールしている。

プレイヤーが操作するのは「二級市民」として扱われている主人公のチャーリー。彼は幼少期の事故により、チップを埋め込むことができなかった。主人公として、街の探索をしながら他の市民と会話をすることや、銃撃戦への参加が可能だ。

E3 2017の開幕直前に行われた「Xbox E3 2017 Briefing」で初めて公開されたこのトレーラーは、ビジュアルの美しさから海外メディアより絶賛を受けた。

全ての始まりはたった6日間で開発されたゲーム

ゲームクリエイターが集まり、サイバーパンクをテーマに短時間でゲーム制作を行う「Cyber Punk Game Jam」。2014年に開催されたこのイベントで、フランスのTim Soret氏が6日間で開発し、優勝を勝ち取ったFlashゲーム『The Last Night』は、ブレードランナーやFlashback (1991)、Another World (1997)、Oddworld: Abe’s Oddysee (1997)など、多くのゲームからインスピレーションを受けた。

シンプルなゲームだが、サイバーパンクの世界観をうまく捉えたビジュアルは高く評価され、彼の制作した『The Last Night』は総計256本ものゲームの頂点に輝いたのだ。

その後、彼は新スタジオOdd Talesを設立し、製品版『The Last Night』の本格的な制作に取り掛かった。2012年にカルティエのアートディレクターとして、香港で働いていたSoret氏。その経験と、目に焼き付いた香港の街並みが、制作に大きな影響を与えている。

また、映画『ブレードランナー』や押井守監督によるアニメ『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』などが、ビジュアルを確立する上での基盤となっているそうだ。

さらなる進化を遂げる製品版の圧巻のビジュアル

Unity 5.6のエンジンを使用し、背景のほとんどがドット絵で描かれている『The Last Night』だが、驚くべきところは、大部分が手描きで作られているところだ。

さらに、映像を見た際に3Dのように見えたビジュアルは、実際は2D。シーン内に、何層にもわたって板ポリゴンに貼られたドット絵を配置することで、カメラが動いた時に立体的に見えるよう設計されている。そこに、エフェクトやライティングが足されることで、よりビジュアルに自然な遠近を感じさせているのだ。

少人数で進められている制作メンバーに、新たに22歳という若きピクセルアーティスト、Brendan Sullivan氏が加わった。彼によって描かれた空飛ぶ車が公開されているのだが、『The Last Night』のビジュアルが、より強化されたことは間違い無いだろう。

視覚だけではなく、聴覚からも伝わる世界観

そして、もう一つ注目すべき点がある。トレーラーで使用されている音楽だ。エレクトロニックアーティストLornの”Acid Rain”を、サウンドデザインなども担当しているJoe Kataldo氏が、効果音も含め5.1チャンネルでミックスしている。

目から入り込む情報のみならず、耳からも世界観を演出しているのだ。重低音と電子音、そしてLornの独特の歌声がサイバーパンクの舞台にしっかりと寄り添う。

2018年内の発売が予定されているが、ゲームの全貌がほとんど明らかではない本作。だが、この素晴らしいトレーラーを見てしまったら、期待せずにはいられない。

Odd Tales
http://oddtales.net/

文:谷津有香

放たれる弓から響き渡る音『ツルネ―風舞高校弓道部―』青春がこだまする

NEWS

ANIME

2018.08.15 WED

2018年10月よりNHKにて放送が開始となる『ツルネ―風舞高校弓道部―』。本作の第2弾PVが公開された。

「ツルネ ―風舞高校弓道部―」は弓道部を舞台に、弓引きにとって重大な病を抱えている鳴宮湊が、弓道を通して仲間との絆を深めていく青春ストーリー。綾野ことこの同名小説を原作とした作品だ。

人を魅了する弦音(ツルネ)を想像させるPV

アニメーション自体は、京都アニメーションが制作することもあり自然と期待が膨らんでいたのだが、公開されたPVで最も際立つのは音の豊かさ。

弓を引いた際にしなる音が、静寂の中響き渡っている。PVではここで止まってしまうのだが、この先の、弦音や矢が的に当たる音も自然と想像してしまう。

タイトルの『ツルネ』というのは、弓矢が発射する瞬間に、放たれる弦から出る音のこと。上手く引けると弓から矢が発射される瞬間に綺麗な弦音(ツルネ)が鳴り、弓道場にこだまする。

コミックマーケット94にて展示された原画

先日行われたコミックマーケット94にて、アニメ本編で実際に使用されている生原画が展示された。目の処理の仕方や、衣装などの細かな設定がメモ書きされた原画が多くの来場者の目に触れていた。

ツルネ―風舞高校弓道部―
http://tsurune.com/

@綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会