bg smartphone

mag-logo

hellow-world

2018年、もっと夢中にするメディア「マグ」誕生

VER 0.0.1
POST 231

MAG mag-beta-white

navi-open navi-close

アニメ史に爪痕を残すクオリティ ── 心を救うTVアニメ「ヴァイレット・エヴァーガーデン」

NEWS

ANIME

2018.03.11 SUN

2018年1月よりABC朝日放送ほかにて絶賛放送中のアニメ「ヴァイレット・エヴァーガーデン」。

暁佳奈による原作小説のストーリーの儚さに、京都アニメーションによって繊細さと美しさが重ねられ、アニメへと変身を遂げた。

彼女の胸元に輝くエメラルドと同じくらい透き通った輝きを放つ目や、義手の光沢感はさすがの京都アニメーション。
映画を見ているような圧倒的クオリティーだ。

そして本作は、考え抜かれた世界観の設定も見所の一つ。作り込まれたその世界は、旅行にいくならどこが良いかと考え出してしまいそうなほど、本当に素晴らしい。

美しい棚田が広がる「カザリ」や、豊かな木々に囲まれた「オスカーの別荘」。
どこまでも広がっていく、この卓越された世界観が物語にそり一層深みを出している。

彼女はまだ知らない、 「愛してる」の意味を。

かつて兵器だった少女「ヴァイレット・エヴァーガーデン」。
言葉を持たない武器だった彼女は、戦場で大切な人から別れ際に告げられた「ある言葉」を胸に抱えたまま生きている。
感情を持たない彼女が、知りたい「愛してるの意味」。

彼女が出会った仕事は、依頼人とまっすぐに向き合い、相手の心の奥底にある素直な気持ちを汲みとって「手紙」として代筆する“自動手記人形サービス”。
ヴァイオレットは手紙で様々な想いを綴る。
あの日告げられた言葉「愛してる」の意味を知るために。

手紙を書く機会がほとんどなくなってしまった今、“言の葉を込めた文字”がどんなに人の心を動かせるものなのかを、このアニメが再認識させてくれる。相手を想い、一つ一つの文字を形成していく“手紙”に宿る、大きな力を。

彼女が誘い出す涙に、私たちはあと何回頬を濡らすのだろうか。

公式サイト
http://violet-evergarden.jp

©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

故・谷口ジローが震えた圧倒的な画力 ── BD界の英雄・メビウスのB面「ジャン・ジロー」

COLUMN

MANGA

2018.06.22 FRI

日本だけでなく、世界中のクリエイターに大きな影響を与えたフランスのBD作家「メビウス」(1938〜2012)。思いのままにペンを操り、緻密かつ繊細な、独特の世界観を提示した彼の作品は、宮崎駿、大友克洋、浦沢直樹、寺田克也といった名だたるアーティストに衝撃を与えた。そんな彼にはもう1つ、漫画家としての名前がある。それは「ジャン・ジロー」── 彼の本名だ。彼の母国・フランスでは、この本名での創作活動の方が幅広い読者に愛されているという。

「メビウス」と「ジャン・ジロー」。この2人のアーティストはどのように生まれ、どのように作品を生み出し、そしてどのように世界のアーティストたちに影響を与えていったのか。1人の男性の人生を辿りながら、2人のアーティストのそれぞれの作品の魅力に迫る。

「BD界のランボー」、ジャン・ジローの登場

ジャン・アンリ・ガストン・ジローがフランスの漫画界で広く名を轟かせたのは、「ジャン・ジロー」という本名で描いた作品がきっかけだった。

1938年にフランスで生まれた彼は、幼い頃から絵本の挿絵を眺め、物心ついた時には絵を描き始めていたという。1954年、パリにある応用美術学校に入学。在学中からプロのBD作家として仕事を始め、2年生の頃には、日本でも馴染深いベルギーのBDの古典『タンタンの冒険』をフランスで初めて掲載した雑誌「クール・ヴァイヤン」に作品を発表した[1]。しかし、同誌での仕事にあまり満足しなかったという彼は、約27ヶ月の兵役を終えた後、憧れだったベルギーのBD作家ジョセフ・ジラン(通称:ジジェ)の「生徒[2]」として、彼の仕事を手伝うようになる。

ところで、日本の漫画にも「青春もの」「恋愛もの」「スポ根もの」などがあるように、フランスのBDも「冒険もの」「スパイもの」「ヒーローもの」「SF」などとジャンル分けされるのが一般的である。なかでもフランス読者に人気が高かった ── いや、今も人気が高いのが「西部劇」というジャンルだ。ジジェも子ども向けBD雑誌「スピルー」で『ジェリー・スプリング』という西部劇を連載しており、ジローは1年間、そのペン入れを担当しながらジジェの技術を学んでいった。

幼い両親が離婚し、父不在で育ったジローにとって、ジジェは“父親”のような存在だった、とジロー自身振り返っている。一方のジジェは、ジローの持つ技術・才能に早々と気づき、驚異を感じていたようだ。後年、ジローについて彼はこう語っている。

私に言わせればジルは怪物です。冗談半分に「BD界のランボー」と呼んでいるほどです!実際、彼の才能と独創性は恐ろしいものですよ。(中略)彼の絵と構図の完成度はまるで魔法ですよ。写実的な画風の作家の中で一番だと言っていいでしょう。私は彼の才能に本当に惚れ込んでいるんです。[3]

そんな彼の才能に惚れ込んだ人物がもう1人いた。1959年に創刊されたBD雑誌『ピロット』で一時編集長を務めると同時に、BDの人気原作者でもあったジャン=ミシェル・シャルリエだ。1963年、当時25歳のジローの写実的で、かつ緻密な絵を見たシャルリエは、すぐさま彼と一緒に新作の連載を始めようと誘いかけた[4]。そして生まれたのが、その後2005年まで40年以上の長きに渡って続くこととなるジャン・ジローの代表作『ブルーベリー』だったのだ。

圧倒的な画力で描かれる「アンチヒーロー」の活躍譚

『ブルーベリー』は、南北戦争が終わったアメリカを舞台に、荒くれ者の保安官マイク・スティーブ・ドノヴァン、通称ブルーベリーの活躍を描いた西部劇。ボサボサ頭に無精髭、くたびれた格好で葉巻をふかし、酒をあおって博打を打つ正義感の強いガンマン ── 子ども向けの“安穏[5]”としたそれまでのBD界に登場したアンチヒーローは、多くの読者を魅了したようだ。

『ブルーベリー』シリーズは、ジャン・ジローが「メビウス」としての創作活動で、世界的アーティストになった後も、「ジャン・ジロー」もしくは「ジル」によって生み出し続けられた。シリーズは28巻まで続き、このほか『ブルーベリーの青春時代』(1975年〜、既刊20巻)、『保安官ブルーベリー』(1991〜2001年、全3巻 ※ジローは原作者で絵は担当せず)などのスピンオフ作品も発表されている。

このうち、日本語で楽しめるのは、2012年にエンターブレインから出た『ブルーベリー[黄金の銃弾と亡霊]』に収録されている、シリーズ11巻「彷徨えるドイツ人の金鉱」、12巻「黄金の銃弾と亡霊」(いずれも1972年刊行)、そして1990年に発表された23巻「アリゾナ・ラブ」の3作品だ。

前2作は、『ブルーベリー』シリーズでも人気の高い作品といい、金鉱のありかをめぐり、ブルーベリーをはじめ、一筋縄ではいかない登場人物たちの駆け引きや戦いが繰り広げられる。一方の「アリゾナ・ラブ」は、制作途中に原作者であるシャルリエが亡くなり、物語の後半はジローがまるまる脚本を担当することとなった作品(23巻以降は、すべてジローが原作・作画を担当した)。前の2作品と比べるとストーリーに派手さはないが、ブルーベリーと、彼が愛した美しい踊り子チワワ・パールとの映画のような“大人の駆け引き”が描かれている。

なお、前2作品と3作目は発表された時代が異なることから、ジローの描くグラフィックの変化も楽しめる。筆とペンを使って描かれた前2作は、人物の表情、背景、そして光と陰が精巧、かつダイナミックに描かれており、3作目の線画はよりシンプルになっていて「メビウス」にも通じるような洗練された描写になっている。いずれにしても、出てくるキャラクターの“カッコよさ”もさることながら、ジローの抜きん出た画力、そしてその緻密な書き込みの量に、ページを開いた瞬間に圧倒されることは間違いない。

ジャン・ジローを超える「メビウス」の存在

「メビウス」として有名になった日本では、「ジャン・ジロー」の名前が取り上げられることは非常に少ない。しかしBDの翻訳を手がけ、日本語版『ブルーベリー』の翻訳者でもある原 正人さんによると、フランス本国の一般的なBD読者の間では「ジャン・ジロー」―『ブルーベリー』シリーズの作者―としての知名度の方が圧倒的に高いという。

そんななか、メビウスではなく、ジャン・ジローの作品に影響を受けたと公言する日本の漫画家がいる。『孤独のグルメ』などで知られる故・谷口ジロー氏だ。1970年代後半、とある雑誌でモノクロの『ブルーベリー』を見たという谷口氏は、ジローの柔らかい線のタッチで描かれた「アメコミのようなスーパーヒーローではなく、生身の人間のリアリズム」に、「体が震えるほどの衝撃を受けた」[6]と語っている。谷口氏にとって、ジローのデッサン、表現の仕方、構図、キャラクターの作り方……全てが完璧に見えたというのだ。

メビウスと谷口ジローの共著『イカル』(メビウス原作、谷口ジロー漫画、長谷川たかこ翻訳、ジャン・アネスティ編集協力、美術出版社、2000年)

それでも50代になったジローは、とあるインタビューで、『ブルーベリー』にはいくつもの「気に入らないカット」があると告白する。そして、時には作品が「やむを得ない結果」に終わってしまったこともある、とした後、「ジャン・ジロー」と「メビウス」とを比べてこう語る。

「メビウスにはやむを得ない結果なんてないんだ。なぜならメビウスは間違わないからね」[7]

完璧な画力で超人気シリーズを長年続けたジャン・ジローが、自分と比べて「間違わない」と断言した「メビウス」というアーティストはどのような人物だったのか。次回2回に分けて、「メビウス」としての彼の人生にも迫ってみたい。

取材・文:周東淑子
監修:原正人
撮影:林 和也

【参照】
http://books.shopro.co.jp/bdfile/2012/05/bd-4.html
『メビウス博士とジル氏』(ヌマ・サドゥール著、小学館集英社プロダクション、2017年)
『ブルーベリー[黄金の銃弾と亡霊]』(ジャン=ミシェル・シャルリエ作、ジャン・ジロー=メビウス画、原正人訳、エンターブレイン、2012年)

【注】
[1] 『メビウス博士とジル氏』サドゥール、p35

[2] 同p38
[3] 同
、P39-40
[4] 『ブルーベリー』解説より。ダニエル・ピゾリ
[5] 同
[6] 『ブルーベリー』谷口ジロー氏の寄稿参照
[7] 『メビウス博士とジル氏』サドゥール、p.248-249

“1コマ漫画”と“アート”の掛け合わせ『HITOKOMART』第47回日本漫画家協会賞カーツーン部門で大賞受賞

NEWS

MANGA

2018.06.25 MON

2018年5月7日に発表された第47回日本漫画家協会賞において、京都精華大学マンガ学部教授の篠原ユキオがコンテンツワークス株式会社の運営するフォトブック作成サービス「Photoback」を利用し自費出版した「HITOKOMART」が、カーツーン部門で大賞を受賞した。

“1コマ漫画”と“アート”の掛け合わせ『HITOKOMART』

『HITOKOMART』は、1コマ漫画家として国内外で作品を発表する篠原ユキオが取り組む新たな漫画表現。キャンパスにアクリル絵の具を使用して描いた作品は、単なるイラストレーションではなく、日常生活や現代社会に対する篠原の視点が盛り込まれている。

その篠原の視点は、文章として作品の横に添えられ、作品とともに彼の考えも伺い知ることができる。

篠原は、学生時代から産経新聞の1コマ漫画を連載していた。油絵を得意とする彼は、独立展の会友として作品を出品しながら1コマ漫画家として、新聞の連載を続けていた。

その、これまで彼が行ってきた2つの活動を感じることができるのが『HITOKOMART』なのだ。

「HITOKOMART」Photoback みんなの作品(STAGE)
※以下より作品の中身がご覧いただけます。
https://www.photoback.jp/Stage/Photoback/PBER-2180191805100222380

2018年度 第47回日本漫画家協会賞 発表
https://www.nihonmangakakyokai.or.jp/?tbl=event&id=7182